ブロックアウトには特定のストーリーなどが存在しませんが、唯一の登場人物として謎の白い顔が登場します。この人物(電脳的な人格?)はTHE BLOCK MASTER(ブロック・マスター)を自称しており、プレイヤーに対してブロックアウトで勝負を挑むいわばゲームのディーラーのような存在と考えられます。Block Masterがゲーム中にデモで登場する場合、省略可と記してあるシーンについてはSTART以外のいずれかのボタンで演出を省略できます。各種デモ画面における合成音声の一覧は次の通りです。
登場シーン | 音声内容 | 訳(筆者による) |
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オープニングデモ(レバー操作紹介のカット後) | "I am the Block Master, and I dare you to defeat me at Blockout. Challenge me." | 私はブロック・マスターだ。ブロックアウトで私を倒せるものならば倒してみよ。かかってくるがいい。 |
最初に選択したラウンドの開幕時(省略可) | "Challenge me." | かかってくるがいい。 |
通常ラウンドのクリア後(省略可) | "You are a worthy opponent, but I won't lose the next game." | 貴様は私と戦うに相応しい相手だ。だが、次の戦いでは負けぬぞ。 |
ボーナスステージ以外で全消し(省略可) | "Blockout!" [SOUND ONLY IN VS. MODE] | ブロック・アウト! (対戦中は音声のみ) |
ゲームオーバー(ネームエントリー後) | "I warned you, nobody beats me." [SOUND ONLY] | 警告したはずだ。何人たりとも私は倒せぬと。(音声のみ) |
また、Block Masterが登場する度、左上にエラーメッセージのようなものがエフェクトとして発生します。多くがエラーメッセージであると読み取れることから、Block Masterは悪意を以て作成されたプログラムなのか、バグの産物なのか、などプレイヤーに想像の余地が残されていますが、ゲームの雰囲気全体が大きく彼(?)の個性を引き立てていると言えます。メッセージのエフェクトとして登場するのは以下の65種類が確認されています(アルファベット順)。登場順の法則等が見られず、また同じ文が1画面(一度に9行表示する)に2行出る場合もあり、出現はランダムになっているものと思われます。(括弧付き斜体部は、表示文字数制限が空白含め21文字となっているために「切れていると思われる部分」を補完したものです)
A BUS TRAP ERROR | A DEADLOCK WOULD OCCU(R) | ADDRESS ERROR | ALARM CLOCK | BAD ADDRESS | BAD FILE NUMBER |
BROKEN PIPE | BUS ERROR | CONNECTION REFUSED | CONNECTION TIMED OUT | CORE DUMP | CPU SLOW DOWN |
CROSS DEVICE LINK | DEATH OF A CHILD | DIL SIGNAL | DIRECTORY NOT EMPTY | DISK ID CHANGE | EVENT NAME NOT FOUND |
EXECUTE USER PROGRAM | FILE EXISTS | FILE NAME TOO LONG | FILE SYSTEM FULL | FILE TABLE OVERFLOW | FILE TOO LARGE |
FSK ERROR | FSK START | HANGUP | HOST IS DOWN | IDENTIFIER REMOVED | ILLEGAL FUNCTION CODE |
ILLEGAL OPECODE | ILLEGAL SEEK | INTERRUPT | INVALID ARGUMENT | IO ERROR | IPL START |
MEMORY FULL | MESSAGE TOO LONG | MOUNT DEVICE BUSY | NETWORK ERROR | NETWORK IS DOWN | NETWORK IS UNREACHABL(E) |
NO MORE PROCESSES | NO ROUTE TO HOST | NO SPACE LEFT ON DEVI(CE) | NO SUCH DEVICE | NO SUCH PROCESS | NOT A TYPEWRITER |
OPERATION WOULD BLOCK | PERMISSION DENIED | POWER FAIL RESTART | PROFILING TIME ALARM | QUIT | READ ONLY FILE SYSTEM |
REBOOT BLOCKOUT SYSTE(M) | SEGMENTATION FAULT | SOCKET IS NOT CONNECT(ED) | STACK OVER FLOW | TEXT FILE BUSY | TOO MANY LINKS |
TRACE TRAP | USER DEFINED SIGNAL | VIRTUAL TIME ALARM | WINDOW SYSTEM SIGNAL | ZERO DIVIDE |
さて、とある筋からの裏話を入手しましたが、実はこのブロック・マスターの顔にはモデルが存在しているとのことです。そのモデルとは、他でもない、当時テクノスジャパンの社長であった、瀧 邦夫氏であるということのようです。瀧氏はデータイースト株式会社の元専務でしたが、その後独立し1981年に株式会社テクノスジャパンを興しています。同社の看板タイトルであった「熱血硬派くにおくん」も瀧氏の名前から取られていることが何よりも有名でしょう。現在はテクノス倒産(1995年、「テクノス中野ビル」に現在もその痕跡が伺える)後に幾つかの分派が生まれたうち、同社作品の版権を主に管理している株式会社ミリオン(当初アトラスの子会社であり、くにおくんシリーズなどソフトの販売はアークシステムワークスが行っている)の専務であるという情報もありますが、2012年現在の立場については分かっていません。
Block Masterの出現に関連して、オープニングデモ(アトラクト画面)で用いられる操作・ルール説明のスクリプトを日本版・海外版で対比して掲載します。なお、海外版はSet 1, Set 2ともに同じインストラクションになるようです(違いはクリアボーナスが日本版に準拠しているか否かだけのようです)。約物やスペース、改行位置は原文ママで掲載します。
JAPANESE VERSION | FOREIGN VERSION |
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レバーとボタンでブロック を移動・回転・落下させて、 下のフィールドをうめてく ださい。*1 |
USE JOYSTICKS/BUTTONS TO ROTATE AND PLACE BLOCKS. |
フィールドが、すき間なく うまると、そのフィールド のブロックは消えます。 ステージごとに、一定数の 面を消すとクリア。 |
AS PLAYER ELIMINATES GIVEN FACES,PLAYER MOVES TO NEXT STAGE. |
フィールド上のブロックを 全て消すと、 「ブロック・アウト」になり レベル1にもどります。 |
WHEN YOU HIT ''BLOCKOUT'' YOUR LEVEL GOES BACK TO 1. |
ブロックがフィールドの上 までつみあがると、 GAME OVER です。 |
GAME ENDS WHEN BLOCKS REACH TOP OF PIT. |
1Pは左側フィールド、 2Pは右側フィールドで プレイします。 |
USE JOYSTICKS/BUTTONS TO ROTATE AND PLACE BLOCKS. |
自分が消した分だけ、 相手のフィールド上の ブロックが、せり上が ります。 |
AS FACES DISAPPEAR, THEY ADD TO OPPONENTS PIT,MAKING THEIR PIT RISE. |
VSモードでは
ります。 |
TWO WAYS TO WIN VS MODE*2
|
イントロダクションでも各ラウンドの説明をしたところで、「10ラウンドが1周と考えた時、通常は次の周でノルマフェイスが1つ増えるが、11面は他のラウンドと異なり、1面の6フェイスからノルマが2減少して4フェイスになる」という仕組みを説明しました。ですが、このフェイスを2つ減らす実装は一体どこへ行っているのでしょうか? その鍵は実はデモ画面中に存在しました。
次の画像をご覧下さい。同じデモ画面であるにも拘わらず、フェイス数が異なっています。
実はこのデモ画面のフェイス数の差は、最後にプレイされた1面台の情報を引き継ぐものと考えられています。しかし、それにしてはフェイス数が正しくありません……。しかし、問題の1面台が11面では7フェイス、21面では8フェイス、31面では9フェイスになっているのです。ということは、実はフェイス数は内部で1ずつ加算されているがゲーム中は帳尻を合わせて11フェイス以降の1面台のフェイスを3だけ減ずるようなプログラムが組まれていると考えられるのです。思わぬ所に隠れた謎が現れるということで、デモ画面も見ていると油断ならない情報が分かります。
もしフェイスが10のデモが流れていたとすれば、それは最後にプレイした誰かが最低でも40面をクリアした状態でゲームを終えたということになるのです!
個人的な感情に過ぎませんが、作曲者が分からないのが惜しいほどにブロックアウトの楽曲・SEは統一的な雰囲気を醸し出しており、このゲームに最も適した曲目揃いであると思います。
ここでは、BGMに関するトリビアを纏めます。
私も含め、このゲームのタイトルであるブロックアウト("Blockout")が1語なのか2語なのか?、という疑問に悩まされていた人は多いと思います。正解としては「1語である」、つまり"Blockout"と綴るのが正しく、"Block Out"では正しくないということになります。しかし、タイトルロゴの配置が2段になっていてBLOCK / OUTと解釈されてもおかしくなく、現に2語で誤解している文章もウェブ上には多く見られます(もともと一般的な複合語であるため、Google検索結果を掲載するのは不毛です)。唯一我々が分かる上で正しいと思われる証拠は、オープニング画面の商標表記で、Kadon Enterprisesが"Blockout"の名で商標登録しているというクレジット表記と言えます(元々は、アナログゲームのQuintillionというポリキューブを使ったゲームの一部でした)。
表記揺れはゲーム中においても見られます。全消しのことを日本語版のアトラクトでは「ブロック・アウト」と書いておりますが、インストラクションカードには中黒がありません。実際には1語なのか2語なのかは、開発者の間でも困惑していたと考えられます。猶、本サイトでは全消しの場合に限り例外的に「ブロック・アウト」と記載しており、それ以外の場合は中黒を付けておりません。英語表記では全て1語としています。読者の皆様には予めお含み置きいただきますよう、ご容赦下さい。
このゲームにも何点かバグが観測されていますが、有名な物の一つに、白い物が画面を遮るバグがあります。画面の上1/3程度までが白地に覆われるという怪現象ですが、特にフリーズすることもなく元に戻ります。下記動画の4:20辺りを参照して下さい。
主に観測されるのはピットの底面積が3×3の場合ですが、稀にRound 21でも観測されたという例があるそうです。
[*1]日本語版の中黒(・)は半角文字扱い、英数字は全角扱いとなっている。他のテキストも同様。
[*2]この行の下にある1., 2.は黄色い文字で表示される。
[*3]テンポの上昇率が曲によって異なっていることが分かったため、速度調査は特にしていない。また、VS. MODEではLevelが3までしか上がらないようで、Level 4に突入する前に21 facesか窒息で勝負が決まってしまう。
[*4]ブロック・アウトによりレベルが1に戻った場合はパートが戻らないものと思われるが、検証可能なのがRound 1ぐらいなので、ゲームが継続した場合どうなるかは未検証。