BLOCKOUT: ポリキューブ概要: 3I


回転法則図

L0はC回転が不変。A1はB回転が不変。
3Iの最短回転経路
A0 neutral
L0 B A1 C

2Iよりも素直な操作感で、5Iよりも危なげが無い、このゲームの「基本の長棒」

 トライキューブ(tricube, 3個の単位ブロックで構成されたポリキューブのこと)である3Iは、長さ3の棒であり、Round 1から登場する3種類のブロックのうちの1つに選ばれています。ご覧になれば一目瞭然ですが、回転軸の位置などを考慮に入れても3Iは形態がたったの3通りしかありません(A0, L0, A1)。これは同じような性質を持った5I, 5Xと並び、他のポリキューブと比べても遙かにバリエーションが少ない簡素さです。
 上下・左右共に対称であるため、その操作は至って簡単です。B回転で覚える方法が1つだけで、しかもL0→A0の回転はその場階段落としも可能というおまけつき、さらにC回転については中央の回転軸に沿って回るため、回転入れについても非常に予測がし易くなります。また、長さ3の棒は安定した操作がし易いながら、深い溝を埋めることが出来る点で貴重なブロックであり、末尾4面台や0面台の3×3ピットにおいても地形修復に定評があります。長さ3を埋めることの出来るブロックは数多くありますが、その基本中の基本であるという点もまた重要です。

トリプル狙いだけでなくBの階段落としで100点を確保できるなど、序盤の稼ぎでも働き手

 3Iの良さは動きの予測のし易さにあり、得点を稼ぐ上でもパターンの覚え易さという特徴が光ります。まずは、基本的な配置例を見ていきましょう。
 階段落としで100点を確保するには、当然にして立てた形であるL0から狙います。最後の平地でBを押しL0→B0の遷移を行うと、回転軸が中心に位置するため3Iは1段浮いた状態となり、階段落としの100点が発生します。Fig. 1は、レバーによる回転落としを複合させる、Round 1の日常的風景を図示しています(4回の階段落としが発生し、たったの一手で418点を得ています)。ここで、6手目に移る時ですが、レバーは右下を入れて斜め入れを行っています。こちらは少しシビアにも見えますが、右だけで階段をコンコン落としてから1段目の層に3Iが乗った状態で下溜め全開で地表に落とすというシビアな方法よりはいらぬ所でのブロック膠着の危険が減ります。階段落としの場合に正しくレバー要素を入れることが出来れば斜めにも入るということを覚えておくとよいでしょう。実機においては処理落ちによってレバーの入れるタイミングに多少の変化が生じ、調節がやや難しいのですが([src:SAL B2])何度も操作を繰り返して、こなれるようにしましょう。
 また、移動してからBを押すとシビアな地形には、Bを移動前に使う手順も覚えておきましょう。例えばFig. 2を考えてみて下さい。狙いとしては、3Iを立てて例えば[(5,1)]に来てからBで寝かせて[(4,1)-(6,1)]に置こうとします。しかし、目押しが必要なので手前の[(4,1)]に着弾すればまだいいですが、間違えて[(6,1)]でBを押してしまうと、[(7,1,1)]の地形に引っかかって3Iが2段目に寝てしまい、蓋で余計な隙間が出来てしまう上、落下にも失敗するため100点を失います。今Round 28相当の地形をシミュレーションしているのですが、これでは面白くありません。このような地形ではFig. 2の5〜6手目のように先にBで回してしまい、確定100点にしてしまうのが運用上安定します。勿論のこと、最初にBを回すのは勇気がいることかもしれません。操作ミスをしてしまえばさっきのミスよりも酷い状況を招き、待つのは死だけ、ということも考えてしまいがちですが、何せ階段落としが1回入る分接地リセットの余裕があるのです。接地音を聞いたらすぐに右に1回ずつレバーを倒していけば、運用がぐっと安定します。特に高次のステージでは階段落とし以外に稼ぐ要素が殆ど無く、更に1ミス即死上等という血も涙も無い環境がひたすら続きますので、この状況において安定して点を稼ぐパターンを確保するというのは、想像を絶する重要性を持ちます。

 また、当たり前の話ではありますが、3Iはトリプル(3段消し)にアクセスできるポリキューブのうち最初に遭遇するものです。そして、Fig. 3で比較対象になっているのが分かりますが、4L等よりも遙かに早く操作ができます(回転の際の連打は1コマで省いているが、4LはD2状態に持って行くためにBCCCBと5手懸かっている)。4Lの項でも紹介しますが、その大きな弱点はトリプルを狙う際に2穴を埋める部分が下に向いた状態に変えるためにかかる手数が多すぎることです*1。3Iはその点、Bだけで竪穴の補修を狙いに行けるため、必要な時に引いた時の破壊力は凄まじいものがあります。しかし、大概のステージではブロックの出現率からして4Lか3Iかを選り好みしている場合ではなく、また高得点狙いにおいては4Lの素早い動作を覚えておいた方が断然良いのもまた事実で、それはしっかりと学んでおくこととしましょう。そういうわけで、3Iは大切に使いたいものです。

Fig. 1
Fig. 2
Fig. 3a
Fig. 3b

立てて寝かす時の注意事項2点:天井蹴りと壁蹴りに気を付けろ!

 前項でも3Lは「立ててから寝かせることで得点が伸びやすい」ことを紹介しましたが、そうすると点数を稼ぐとなると必ずBボタンによる回転が最初に行われるということになります。その際にブロックアウトで特有の開店ルールを知っていなければ大怪我をするので、この項で紹介すべき2つの回転時の注意、「天井蹴り」「壁蹴り」について紹介していきます。
 「天井蹴り」(ceiling kick, [src:SAL B3-2])とは、落下直後に回転すればぎりぎりで立てられそうな所で回転が効かなくなるという現象で、アーケード版ブロックアウトの「奇妙な挙動」として注目しなければならない動きです。天井蹴りの発生条件としては、「ボタンを押した結果、捜査中のポリキューブがピットの最上段をはみ出すような場合」に発生し、天井蹴りが発生すると、本来は回転可能な状況で天井を蹴るような形にポリキューブを回転させると、そこを蹴ってしまい、天井に張り付いた時の状態で地形と重ならないかのチェックを行います(よって、3Iの予測よりも1段下まで隙間が無くては回せないのです)。しかしながら、回転が成功すると蹴らない位置のまま回転するので、回転がセーフな箇所からぎりぎりアウトだった箇所に立てたポリキューブを持って行くことが出来るのです。
 具体例を見てみましょう。Fig. 4はおなじみRound 1の光景です。高さは11なので、その高さから3IをB回転させると10,11,12の高さ……つまりは9段目、黄色の層の真上に立つはずです(図の4手目)。ですが、実際に操作すれば分かる通り、回転の判定に限り「3Iは高さ12(天井)を蹴り、高さ9,10,11を占める扱いになる」ため、Fig 4.の5コマ目のような判定となり、激しい金属音が鳴ってしまいます。天井蹴りの判定を知らずに先程のような回転即落下とやらかしますと、目を覆うような事態になります。
 一方で、Fig. 4の8コマ目で、天井蹴りの分の隙間のあるところで縦に回してあげれば、その後9手目のように黄色の層の真上に置くことが出来てしまいます。これが天井蹴りの奇妙な挙動です。しかしながら、そのまま黄色の層の真上に置いた場合、3Iの頂点は天井(高さ11)よりも上の高さ12に位置し、そのままだと「天井を突き抜ける窒息判定」により即死してしまいます。この即死を抜けるためにレバーを下に入れると同時にAボタンを押し、通常の階段落としに移行した場合、本来死亡判定だったところから生還して100点を取ることが出来ます。これが1Iの項でも少しだけ触れた「臨死階段落とし」と呼ばれるアクションです。この行動はかなりのリスクを伴い、特にAを押してからの下要素が間に合わないと、全ての苦労が水泡に帰します。このゲームで無理に点数を狙いに行くのは、コスト対効果から見ても非常に危険で殆ど実入りがありません。後のラウンドでは、寧ろ生存重視の方が(特にRound 15辺りから)点数が伸びてきます。高さを稼ごうとするだけでも操作ミス1つで終了するなど相当に危険なプレイになりますので、自分の技量に合わせた確実なゲームプランを持ちましょう。
 次に、「壁蹴り」(wallkick)です。このゲームでは四方の壁にめり込むような回転を行うとピットの中に入るように内側に押し出されるような形で補正が行われます*2。ブロックアウトの壁蹴りは簡潔なルールで実装されており、壁にはみ出た方向とマスの分だけ中央へと押し返され、その後で地形・床・天井のいずれにも重なっていなければ回転に成功する動きです。Fig. 6で動きの例を見ます。4コマ目で右下隅に3Iを立てておいた状態でBボタンを押すと、結果となる位置は[(3,4)-(5,4)]で右に1マスはみ出ていますが、はみ出している部分は四方の壁だけなので、壁蹴りが働いて5コマ目のように左に1マス押し出されます。同じように、5コマ目のシーンで次にBボタンを押すと、[(3,3)-(3,5)]となるはずですが、壁のみを蹴って(おり、かつ補正でずらした後に余計なブロックと衝突しない)ので、6コマ目のように、上に1マス押し出されます。
 この壁蹴りを上手く使った階段落としの例がFig. 7になります(Round 4, 10相当)。先ずは天井蹴りにならない位置でのB回転からすぐさま左上隅に持って行ってAを押します。臨死を行う為速やかに下に移動しますが、ここですぐに真ん中の穴には放らずに、[(1,3)]に立った状態でCを押して壁蹴りをしつつ寝かせます。この寝かせも階段落としの対象に当然なります。そして、7コマ目のようにBで立てると、5Tぶっ刺しのような形で段差が2マス以上付いていれば、階段落としの100点+消去点が貰えるので、3Iを引いた時にはお得で狙いやすいので是非覚えておきましょう。くぼみが低く4Tの形になっている場合は、B回転で立てても得点が変わらないので、スライドだけで動かすのが安定します。

Fig. 4
Fig. 5
Fig. 6
Fig. 7

使いやすい3Iの注意事項は「極度の依存」「2マスに弱い」

 3Iは序盤のステージにおいて地形作りにおいても根幹を為すことがあります。全ての棒状のポリキューブにおいて共通することとして、立てる時は後続の移動を妨げないように四隅へと押しやって待避させ、四隅が埋まったら壁の隣でなるべく高さが同じ所に隣接してに貼り付ける、コーナーからエッジへの補修が有効です。寝かせる場合はなるべく孤立する縦穴が出来ないようにする必要が出てきます。余りに極端な図ですが、Fig. 8aのような3I待ちはやるべきでは無いでしょう……。まさか真ん中を高く積んで自殺行為をしようという人はいないかと思いますが、例えばこれがLevel 5だった場合、3I以外の長い棒(5Lや5T)、あるいは5Q等の凹凸に対処しづらいポリキューブを引いて正しい判断が下せるでしょうか? 答えはおそらく「否」でしょう。仮に竪穴を作ってしまうとしても、他の窪地と隣接させて2ヶ所同時に埋めにくい狭い穴待ちを作らないという鉄則は守る必要があります。Fig. 8bは高さがFig. 8aよりも高く(音楽もテンポ上昇)なっているのですが、それでも穴が「1ヶ所の纏まり」になっているため、まずは間に合わせで1フェイス消すなど出来て、こちらの方が楽にゲーム展開を作ることが出来るのは火を見るよりも明らかです。
 広いピットを持つラウンドであればより長いポリキューブの出現があるために3Iの出現率はぐっと落ち込むので(例外的にRound 5は18%、Round 11は16%でおのおの最多出現率である [src:SAL B7])、適度な長さの棒にばかり頼らないフィールド設計技術を磨き、常に考えながら置くようにして下さい。
 また、Round 30やRound 40*3では、2Iと3Iが軒並み軽いポリキューブの出現が無い中の「唯一の希望」のような存在になります。しかし、2Iと3Iは同じ棒でもその1マスの差が決定的になってしまうことが幾つかあります。3Iは当然2Iの平置き形に対して、1マスずつしか埋めていく手段がありません。その上高さ3が堆積するということは、狭い面で引っかかりが発生しやすくなったり、穴の周囲が極端に高くなったりなどの問題も起こります。Fig. 9の場合、中央に縦に平置きでは4Oダブル待ちという良くない待ちになるためそれは避けて、コーナーに待避して5Hの両面刺し込みや5Kの削り、下部に5Xを備えるのがましという判断でしょうか。
 Fig. 10は2I待ちではないのですがフェイスの消せない3Iという嫌らしいパターンです。右側に縦置きして壁の高さを上げる妥協手を除いて考えていきます。中央縦に平置きをしても、5Xの下の穴が2つあるため消去できず、その後に5Xを引くと、立てた時の段差が1段ずれる最悪の形状になります。それを押してでももう一本「3もの」を引く手にかけるとしても、ペンタキューブの5L, 5Tは非常にリスクが高いので、待ちとしては相当薄くなります。ただ、[(2,1)]か[(2,3)]のどちらかに立てるにせよ、CS/CZは単騎待ちになる上(裏目を引くと緑勝負になる)、5Fの処理が非常に危険なことや、3ものの対処場所が依然として無いなどかなりの覚悟が必要です。一方[(1,1)]または[(3,1)]に立てる策は、2段目の紫を確実に取りに行くこれもまた覚悟が必要な手です。何より、3Iを立てた上が5Xの穴の上で青を完全に捨てる賭けになりますし、レベルが充分高ければ高さ5というのは窒息一歩手前に匹敵します。
 次のブロックが全く読めないブロックアウトにおいて、ほぼ詰みが確定するか確定までは行かなくとも理想的な流れに恵まれないとクリアが厳しい状況も多いため、ブロックアウトは数をこなして繋げる可能性を最大限に上げる、「取りこぼしをしないスタイル」が主流となっている大きな理由の一つでしょう。ただ、残りフェイスが少なくクリアまでかろうじて手が届く状況であれば、たとえやけになりたい場面でもグッと堪え、Aボタンでの落下を止め、次に引いたら危険なポリキューブを頭の中で想定し、どう回すかに全神経を注ぐ必要があります。

Fig. 8a
Fig. 8b
Fig. 9
Fig. 10

総括

 3Iは棒状のポリキューブの中の中堅どころであり、1Iに次いで基本的な棒と言えます。その近親種である5Iとは運用方法が異なり、気軽な使い方が出来るのがポイントです。また、6面台以外の全ての面で出現できることから、どんな場所でも得点稼ぎには圧倒的な活躍で貢献してくれる、最もプレイヤーに優しいと呼んでもよいほどのポリキューブです。
 しかし、便利なポリキューブであるが故の「宿命」のような弱点として出現率が高次ラウンドで抑えられていくことに加え、高い地形での天井蹴りに注意を払わなければなりませんので、地形が高くなる前に安全な持って行き方でフェイスを消すことを心がけましょう。また、2I穴に対する選択は一歩間違えると危険になる場合もあるなど、ひとつだけで万能なブロックというのが存在しないところから、大きいブロックほど選択肢が限られることを示す重要な役割を果たしてもいます。

[*1]D面を出すにはどれも最低4ボタン懸かる、「重い手」である。
[*2]参考までに、テトリスにおいての壁蹴りの元祖はアーケードAtari版(1988)であり、ブロックアウトもそれを追う形で実装されていることになる(但し、Atari版はIを補正しない、左に蹴り方が偏るなどの違いがある)。一方、日本で知られているテトリス作品の壁蹴りは大分実装が遅く、「テトリスプラス2」(ジャレコ, AC/PS2)が1997年であり、より壁蹴りが普及した「テトリス・ザ・グランドマスター(アリカ/カプコン, AC)」「テトリスDX(任天堂, GBC)」「マジカルテトリスチャレンジ featuring ミッキー(カプコン, AC/N64)」らは1998年の作品である。一方、例えば「ぷよぷよ」(初代)は1991年にして壁蹴りを実装している(回転方向は1方向のみ)が、こちらは充填型の落ち物パズルではないため、事情が異なる。
[*3]Round 30と40は、1Iと3Lが出現しないことが同じだが、各ポリキューブの出現率の調整が異なっている。Round 40(括弧内はRound 30)では3Iの出現率10%(7%)というデータがあるが、立体ペンタキューブの出現が15%(12%)、フラットなものは23%(27%)にも上る。ブロックの詳細を見れば、5Hの出現率は5%(0.9%)で5倍近く増え、2Iの出現率が6%(7%)とやや減少と、この辺りがRound 40をより難しいと見る根拠であろう。その代わり5Lの出現率はRound 30の方が3ポイント高いため、5L連打による殺され方はRound 30の方が多い。Round 30がフラットテトラキューブの種類の偏りが少なくフラットペンタキューブの種類が偏りやすいのに対し、Round 40が逆の傾向を示しているというのも含めて、極めて興味深い対比といえよう。


目次: 1I | 2I | 3I | 3L | 4I | 4L | 4T | 4O | 4S | 4Y | CS | CZ | 5I | 5J | 5Y | 5X | 5T | 5L | 5C | 5P | 5Q | 5K | 5H | 5F
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