4Oの最短回転経路 | |||||||
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A0 | neutral | ||||||
L0 | B | A1 | C | ||||
A2 | CC | L1 | BC | L2 | CB | A3 | BB |
R0 | BBB | L3 | BCB, CBC | R2 | CCB | ||
R1 | BBBC | R3 | BCBB, CBCB, CCBC |
4Oは、最も基本的で安定した直方体の形状を持ち、1I, 3Iと並びRound 1に登場する基本中の基本であるポリキューブの中で最大の大きさを持ちます。フラットなテトラキューブの1つであり、テトリスでは回転による形態変化が無く、幅2の箇所がないと地形を崩してしまうことから厄介なイメージを持たれがちですが、このゲームでは、何といってもピットの底面積によって扱いの難易度が大幅に変わります。特に、3×3ではどこに置くかによって、勝利を大きく手繰り寄せるのか、それとも結果的に敗着となるのか、その後の運命が180°変わってしまうほど上級者でも危険視してかかるポリキューブなのです。これは4Oの単純な形状からすると随分意外なことかもしれませんが、逆説的な話で、4Oは回転軸を考慮しない形態がいくつあるかを考えると、12形態を回転軸の位置4通りで割った3通りしかありません(A0~A3と、L0/L2/R0/R2と、L1/L3/R1/R3)。3通りしか形が無いということは、それだけ選択肢が少なく、盤面の急激な変化に対応する余地が無くなっていくということになります。
4Oの置き方をマスターすることはブロックアウトの根本を支配することににもなります。4Oの安全な運用、攻撃的なテクニックを覚えて、上手く付き合えるようになりましょう。
A面に関しては、選択の余地がピットの底面積に依存しているといえます。例えば広いピット(末尾5面台、7面台、8面台など)では、置いておく場所が沢山あり、余り処理に困りません。ところが、末尾4/0面台の3×3のピットでは、4Oを使うと表面の半分が埋まってしまう上、結果として生まれる隙間が5L待ちになってしまうという、困った性質を有します。Fig. 1での可能な4O-A面の配置パターンを見ていきましょう。広いフィールドでは(Fig. 1a-1c)、点対称のケースを除くと3~4通りの置き方があります。それより少し狭い3×4、2×5でも、最低限2通りは置き方があります。しかし、Fig. 1dの場合は1通りしかありません*1。また、初手の置き方以上にA面で置くケースが道中多くなるかというと、これは面積の広さで格段に差が付きます。まず、5×5や7×3などの地形では、広い地形で沢山のブロックを待つ区画が十分に確保できることから、同じ高さで4Oをすっぽり入れる場所が確保できる可能性が高く、そのケースが無くとも2使いが出来る可能性は十分あります。尤も4Oばかりではなく5Jや5P、5Qなどが2マスの窪地を埋めることがあるため、同じ高さの列を作っておくことで隙間が増えることはある程度避けられます(この場合は、高さの制限に気をつけてください)。一方、狭いステージでは、4OをA面として利用することはまずありません。勿論Round 4などのように、出てくるポリキューブが限られている場合は別です。4O+4Lは窪地が残り1個になる典型的パターンであり、高さを稼ぐ際には大いに活用できますが、3×3での4Oは4Tや5Xなどのように「幅が2になる置き方が無い」ポリキューブと相性がよくありません(Fig. 2を参照)。地形の大きな崩れを防止するには、5~6コマ目の4TをU面で配置することで4Oをそのまま積めるように待つか、あるいは縦に立てた形で8コマ目のように4Oを置くかという選択となります(横に立てる形で置くのは、9コマ目に見える右上の鉤型の区画が潰され、4Y/CS/CZなどのフラットでないブロックでフェイスを取れなくなるのでお勧めしません)。また、狭いステージで、テトラキューブ以上のフラットなポリキューブを引いた場合に、一か八かの賭けにはなりますが「削りで使う」というのを考えなければなりません。Fig. 3にあるのは削りの応用編であり、この場合は4Oをもう1度引いたり、あるいは5Tや5Fが来たりしない限りは余計なゴミも出ずに中抜きが成功します(この場合はCZをドローしたと仮定)。更にはこのことから、4Oは1×1の穴に対応しないという明確な問題点があり、2マスに対応できない4Tとは対照的な弱点を有している、という言い方が可能です。
Fig. 1a |
Fig. 1b |
Fig. 1c |
Fig. 1d |
Fig. 2 |
Fig. 3 |
L/R面の偶数形態(縦に立っている状態)とL/R面の奇数形態(横に立っている状態)は、後述の回転トリックなどのことを考えるよりも、まずは積み方を覚えるのが第一歩です。そして、個人的にいえば、立てて使う面はA面の寝かせよりも用途がはるかに高いと考えられます。何といっても、2マスしか地表を埋めないため、2×2の窪地が確保できないといった時にも問題なく使用することが出来るためです。
この形態の特徴となるのはやはりダブルでの消去が狙えるということがポイントでしょう。深さ2の連続した窪地を作ることはよくありますが、典型的な例がRound 9の3I/4L/4O/5Pの多面待ちといえます。幅と深さが2の状態で穴を用意して外堀を埋め、高得点を狙うのです。その例をFig. 4に掲載しています。狙い目は[(3,2)-(4,2)]に穴を開けるパターンでしょう。出現位置に被るように穴が出来るので、操作の手間が少し省けます。3I(Fig. 4、2~3コマ目)では3ラインで最低の900点にしかなりませんが、Bボタンで一発です。しかし、この地形を積むことができ、4O(同4~5コマ目)をねじ込めたなら、同じBボタンで一発900点ながら、1フェイス当たりの点数が上がります。4L(同6~7コマ目), 5P(同8~9コマ目)は溝の向きを変える必要があるためボタン操作はCCCBとなってしまいますが、得点が4Lで1,350点、5Pで1,800点と狙うには十分価値のある得点となります。勿論、周りの突起部を階段落としに使うことが出来れば更に得点が増します。ただし、これだけ高く積んでポリキューブを待つこと自体はかなり難易度が高く、合計で出現率50%を超える4T, 4S, 3L(3つで計54%とされる)を上手くスルーしながら得点するのは至難の業です。また、この場合は必然的に6%の5Pを待つことになるので、現実的には4Lを待って妥協する場面が多くなります(このときは、高得点で消せる確率こそ上がるものの、4Oを待ちとして勘定できなくなるのが厳しく、地形の堆積が早まるため無茶は禁物です)。[src:SAL B7]
4Oは5Lと組み合わせると3×3の正方形が出来るということから、5Lの立て掛けには便利な形を作ることが出来ます。これはRound 5などで見られる手順です。また高さ2を利用した他の例としては、4Lや5F(4Oの2枚使いを許せば5T, 5Yも)の突き出た部分の立て掛けなどがあります。Fig. 5に見られるように、これらは簡単な高さ2の段差を確保する上では定石の組み合わせとなります。逆に、非常に相性が悪いのは4Y, 5X, 5KなどのT字系やブランチ系です。これらは「2マス」に相当する部分が無く、接触させての良形が作れない厳しいコンビネーションとなります。これらはT字待ちの受け口を作ってあげて対処し、4Oは基本的にこの受け口を塞がないように積むことが必要です。Round 23の最序盤のシミュレーションとして、4O→5X→5Q→4Oの順でドローした場合をFig. 6としていますが、最後の4Oは何故ここに置くのでしょうか? それこそが、5Qで折角作り出した5X対策、あるいは右端の5C対策部分を残すためです(最悪、右端はもう1度4Oをドローした場合のゴミ捨てとして利用し、2段目の紫勝負という風にも出来ます)。
特別な考えを必要とするのは末尾6のラウンド、すなわち底面積2×5のピットです。このラウンドでは鉤型が勝負の争点になるという話を3Lの項で紹介していますが、その鉤型にならない4Oはどうすべきでしょうか。これは、なるべく生じる段差が少ない置き方をすることが正解です。2使いか4使いかという問題も同じになり、2使いが可能なCS/CZの代用として使うときには、どんな段差が出来るか考えて置かなくてはなりません(CS/CZは必ず2段目に埋まらない箇所が出ますが、どこに穴を置くかなどが重要です。これについてはCS/CZの各項で触れます)。
Fig. 7aは答えが2通りに割れそうです。基本的には4Y/CS/CZの全てが入る形が望ましい(それならば5Qも入ることになる)ですが、2コマ目のようにフラットに置けば次のフェイス消去で2段目が残りません。逆に、鉤型で消去できる待ちが出来る3コマ目も悪くありません。4Yが少し厄介に感じるかもしれませんが、その場合も次の窪地が鉤型でやりにくさは感じません。一方のFig. 7bは4O受けが悪い地形です。悪手から好手の順に紹介していきますが、まず2コマ目は厳禁です。フェイス消去の可能性が3Lしかなく、しかも他のポリキューブが受けられないほどガタガタした地形です。同じL/R面であったら3手目の方がましですが、これも4Y待ちが出来てよい展開とはいえません。CS/CZの中抜きを考えるのも悪くはありませんし、2コマ目よりは大分希望があります。そして、この場合であれば最もましといえるのが4コマ目、逃しの一手です。そして出来ればCSを待って鉤型+2Iで解決できる窪地を作り続けるのが特にRound 26以降の基本的な立ち振る舞いとなります。
4Oの2使いはキラルで生じやすい2穴への回答、そして、4使いであれば鉤型×2+4Oで2×5の底面積を埋めることが出来るためひとつの理想形です。逆に、4Oを引きたくないような状況、Fig. 7bのように4Tや4S形の空き方は、回避する必要があるのが分かります。
さて、4Oは1マス穴というよりも奇数の待ちに全般的に弱いというのは間違いありませんが、Fig. 8の4O連打によって追い詰められるパターンを観て頂ければ分かる通り、5面台・8面台・9面台および3×3のラウンドでは、底面の縦横が奇数になっているため、4Oだけを引き続けると一つもフェイスを消せずに終わってしまうことになります。特にこれらのラウンドでは天井の高さも低い為、4Oは立てることでより追い詰められやすく、平置きで今後の選択肢を奪っていきますので、気が付けば2穴や立体に弱い危険な地形が組み上がってしまいます。面積が広い8面台ですら、Level 5の速度で4Oを連打されることはかなりのプレッシャーとなります。ブランチや市松模様と相性が極めて悪い。
Fig. 4 |
Fig. 5 |
Fig. 6 |
Fig. 7a |
Fig. 7b |
Fig. 8 |
4Oの置き方に関して学んだ後は、ステップアップの階段落としや回転入れなどのボタンを使用したテクニックを極めましょう。
まず、Cボタンの回転入れについて学びましょう。ただし、覚えるのはL/R面の場合だけで結構です、なぜなら4OのA面は、回転入れが可能なところは必ずスライド入れも可能であるため、覚える必要が全くありません。寧ろA1からA3状態に移行した場合、回転軸がどこにあるのか忘れてしまうという本末転倒な結果になってしまうので、逆に平たい状態では回転を控えましょう。次に、L面やR面での回り方ですが、これは2Iの厚みが2倍になっただけです。なので、穴の高さだけ注意すればやるべきことは2Iと全く変わりません。そう、反時計回りにしか回らない点や壁蹴りによって回転入れが成立するケースなども、全く同じです。実際にFig. 9の「高さ2の空間に4Oをねじ込む例」を見てみましょう。まず、左右で実施しているのはL3→L0, L1→L2というパターンですが、実はこれがR3→R0, R1→R2という回転軸の高さが違う場合でも成り立ちます。尤もR面に向けるためにはBBというボタン操作が余計にかかってしまうので、L面側で回転をしたほうがこの場合は覚えることが減ります。また、中央で実施している回転入れは、回転軸を壁に押し付けて上下方向の壁蹴りが成立する回転で、壁蹴りを駆使することによって本来は回転しない方向への移動が可能になります。不可思議な移動をしていますが、接着が起こらない限りぶつかることなく移動できます。回転軸を間違えると回転そのものに失敗するため、これは覚えておかなければなりません。
次に、Bボタンの遷移を見てみると、まずはA0→L0→A3→R0→A0, A2→R2→A1→L2→A2という、縦に立つ形を経由するパターンが2通りあります。まずは前者のパターンをFig. 9aで見てみましょう。いきなり注意をしなければならないのはA0→L0の動きで、これは回転軸が左上に位置するため、Bを押すと軸の無い右側が1段床方向に向きます。しかし、A0の状態で床に置くと、床蹴りが発生し、結果として回転が出来なくなってしまいます。また、この時点では落下が発生しません。すぐさまBを押してL0からA3形態にすると、今度は回転軸が天井側にあるため、ブロックが浮き、階段落としが発生します。そして、A3→R0へ回転すると床蹴りが無いので4Oが起き上がります。更にBを押すと、最後には右にぱたりと倒れてA0形態に戻ります。この右側にぱたりと倒れるのが「伏せ」と呼ばれる回転入れのケースです(Fig. 10aの11コマ目から参照)。伏せのテクニックは置きミスや妥協で空間を空ける積みをしなければならなくなった際、リカバリー出来ることがあるので覚えておくと役に立ちます。
後者はどういう動きか、今度はFig. 10bで見てみましょう。結果としては、回転軸の上下によってBボタンを押したときの挙動は変わりません。共通しているのは、「R面の状態でBを押すと起き上がりが発生し、もう1回押すと右側に伏せる」「L面の状態でBを押すと4Oが浮いて階段落としが発生する」という事実で、これは2IのL面とR面の挙動と全く同じです。また、「伏せの方向が右側に限られており、壁蹴りを使える右端に限り左端に伏せることが出来る」という伏せの制限まで同じです。ということで一番重要なのは、今自分が操っている4Oが伏せのR面を向くのか階段落としのL面を向くのかという問題です。押したボタンを忘れてしまうと、実際に回してどこが中心に回転しているのかを確かめるしかありません。
最後に、残りのBボタンの遷移である横に立てた形のパターンがあります。遷移順はL1→L3→R3→R1→L1という具合ですが、この中に面白い動作があります。Fig. 10cで見てみましょう。まずはBCとボタンを押して4OのL1形態を呼び出します。1回Bを押すとL1→L3になりますが、このときレバーを操作せずして左へ1マス移動しています。更にBを押してL3→R3と回転すると、回転によって4Oが蹴上がり、その場で浮き上がる形となり、階段落としが発生するのです!(図中の3~5コマ目に当たる) さらにR3→R1とすると今度はレバー操作無しに右へ1マス移動します。最後にR1→L1という風に回転軸が天井方向へ戻る回転を試みるのですが、これは実施できません。何故かと言うと、回転軸が天井に持ち上がることで4Oは元の位置から1段下がった位置に描画されることになるのですが、これは必ず「その場床蹴り」が発生し、接地状態では絶対にBボタンが効かなくなります。よって、この回転はR1形態を保ったまま固定されて終了となります。*2
そう、細かい得点稼ぎで重要なのは、「その場階段落とし」が発生するL3→R3のケースです。L3形態の最短手はBCBまたはCBCのボタン操作をしますので、ボタン操作はBCBABまたはCBCABとなります。このちょっとした工夫だけで、100点を余計に取ることができるのです。事実として、筆者がこの稼ぎをRound 1で徹底して使用したところ、この技を知らなかったときに比べて、Round 1で稼げる平均得点が1,500点以上も増加するという驚くべき成果が出たのです。アーケード版が階段落としゲーと呼ばれる所以がお分かりになるでしょう。
Fig. 9 |
Fig. 10a |
Fig. 10b |
Fig. 10c |
4Oは直方体の形状を持つテトラキューブで、2マス分の窪地や4マスの正方形の区画を一気に埋めることが出来るため、広いピットの基礎の積み上げ、区画整理には使いやすい一方、置き方のパターンが少ないので狭いピットではポリキューブ出現率を考えながら慎重に扱う必要があり、何より単位キューブ1マスという隙間には手出しが出来ないという明確な弱点があります。
回転は2Iに似通っており、回転入れで4Oを水平に回したり伏せて入れたりするときには、回転軸の位置や四方の壁蹴りを計算に入れて、上手く入れて難局を切り抜けましょう。更に、L1/L3/R1/R3の各形態(すべて横を向いて立っている形状)の回転には「その場階段落とし」と「その場床蹴り」という特殊な現象が見られます。特にその場階段落としは無条件で100点を加算できるため、ぴったり合う地形があれば積極的に狙っていける小技です。
[*1]点対称の考慮などを除いた結果(括弧内)も含めて纏めると次の通りである。なお、ボーナスステージ(2×2)は4Oが出現しない。
10n+1(4×4):4通り(9通り)
10n+2,3(3×4/4×3):2通り(6通り)
10n+4,10(3×3):1通り(4通り)
10n+5(5×5):4通り(16通り)
10n+6(2×5):2通り(4通り)
10n+7(4×5):4通り(12通り)
10n+8(7×3):4通り(12通り)
10n+9(3×5):2通り(8通り)
[*2]回転によって移動・その場階段落とし・床蹴りが発生する理由は、ポリキューブの回転軸が単位キューブの中心に入っているというアーケード版独自の性質によるものである。原作版(とメガドライブ版、リンクス版)のブロックアウトではポリキューブの回転軸が単位キューブの角同士が交わる「格子点」に位置するため、同じ回転を実施しても同じ場所を回り続け、形状の変化も高さの変化も発生しない。