BLOCKOUT: ポリキューブ概要: 5L


回転法則図

5Lの最短回転経路
A0 neutral
L0 B A1 C
A2 CC L1 BC R0 CB
R2 CCB L2 BCC A3 CCC R1 BCB, CBC
L3 BCCC R3 BCBB, CBCB, CCBC

回転軸が中空に存在する異様なポリキューブは、特殊な回転と長さ3の絶妙な難易度に注意せよ

 フラットなペンタキューブの中で3×3の空間に収まる最後の1個が、5Lです。3Lの各辺の長さを2から3に長くした、曲尺のような物体です。右上のポリキューブの図からも明らかな通り、この5Lには他の23種のポリキューブが持たない奇妙な性質があります。それは、回転軸がポリキューブの存在しないうろの位置、立体の重心に相当する2辺の間に存在するというものです。この性質はいったいどういう違いがあるのか? ここでは特別に3つのケースを検証します。Fig. 1aはアーケード版の挙動となります。ここから見て分かる通り、非常に回転はコンパクトとなり、どんな状況でも3×3の範囲内で動きます(但し、ブロックアウトはZ軸方向に伸びる四方の壁に対しては壁蹴りが働く為、単なるCボタンの回転では違いが一見して分かりませんので、回転入れの紹介およびBボタンの回転でこの回転の特徴を深く掘り下げていきます)。これが、原作版だと1bのようになります。 原作版のブロックアウトはポリキューブの位置に回転軸があるのではなく、グリッドの線と線とが交わるところ……「格子点」に位置するため、折れ曲がっているところの中心に軸が付いています。そうすると、これを回すと回転時にとる軌跡が4×4の正方形となり、1つだけ広く回ることになります*1。更に参考として、曲がり角のキューブに回転軸が付いていたらという場合を"if"のケースとして1cに挙げましたが、見れば一目瞭然、5×5のスペースを使う回転となり、こんな実装をされてしまったら、キューブ蹴りやブロック蹴りがさほど落下していない状況から急に発生することになり、とんでもない複雑な考慮が要求されてしまうでしょう。そのため、この「うろの回転軸」は、5Lの回転をコンパクトで理解しやすいものにしているので、無理なくゲームを成り立たせる為のメカニズムだということが見て取れます。
 形は直角の長さ3というところで、平置きすると4Oの形が残る為、非常に綺麗な形をしていますが、決してその美しさに騙されてはいけません。この1×3×3の空間を消費するということは、5Xや5Tのように、非常に振り回しにくい形となるのです。狭い空間では入れ方を一度間違えば修正が効かないのは他と一緒です。しかし、5Lの問題はそればかりではなく、「2段目」「2列目」といった中央へのフォローが弱く、2I待ちに弱いだけではなく「2番目」の位置に弱くなります。これは則ち1段の段差に非常に脆いことを意味し、他のキューブなら何でもない地形が5Lの場合には選びたい手が無い、というケースも多く出てきます。5Lを扱う上では、いかに傷口を広げない逃がし方をするか、消去可能な層を最大限残す妥協置きをすることが、攻略上の起点になります。

Fig. 1a
Fig. 1b
Fig. 1c

A面の平置きは4O形の残りに警戒、水平回転は思わぬ所に手が届く

 どのポリキューブにも言えることですが、底面積が狭いピットの方が、平置きの形は使いにくくなります。特にペンタキューブの場合……5Xしかり、5Tしかり。5Lはその中でも、コーナーの基礎固めに使いやすい為、十分に広いところでは平置きは安全牌の1つとして考えられることが多いと考えられます。その場合も考え方は実に基本に忠実に、角から配置していきましょう。ただし、地形が積み上がってきたところで、5Lの平置きの目を探すことは意外に難しいものです。手つかずの3×3の空間ならばどんなキューブでも隙間無く詰め込めるのですが、長さが3の箇所を2つ確保している状況が中々出来ないため、頻繁にお目に掛かるのは5面台ぐらいでしょう。
 5Lは地形の分断が非常に明確になるポリキューブですので、区画の予約のパターンとしてすぐに実行できる手順は覚えておきましょう。9面台で使い道のある4T+5Lのケース(Fig. 2)は、9面台に出現しやすい鉤形のケアと同時に、5Xを1回だけ受けることが出来る形です。ただし、5Lは9面台とは取り合わせが悪く、途中の平置きが受からないところで、3I使いにするか、4Oに横付けする形となる事が多くあります。平置きは5Xの受けが確実に作れる時にやっておくとよいでしょう。
 5面台では3Lでやったような変化形のスタートの形がそれほど生きては来ないように感じられます。3Lの変化形とは、Fig. 3の1~3コマ目で見られる3Lの置き方で、敢えて3Lの両辺を壁のガイド通りに置かないことで3I, 4Iの両面の受けを壁に追いやることが出来るという小技ですが、5Lの場合に似たような方法をとると3Lの短辺+2Iで1段高い5待ちを作った時が大型のT字の走り方となり(同5コマ目)、それよりは6コマ目のように4Oマスの中に埋め込む(または、コの字型に置く作戦も突飛では無い)ということになるのでしょうか。5Lは長さが2になる部位が存在しないので、2Iが残っている場面や3×3の中央だけが開いているパターンに弱いことになりますので、そのような残り方に偏らない窪地処理を行う必要が出てきます。
 平置きの中で、最も警戒しなければならないのは、やはり20面以降の3×3フィールドでしょう。この状況では、5Lを平置きするとどのようにしようとも4Oの目が残ります(Fig. 4)。しかし、このまま平置きでは、相性の良くないブロックが幾つも存在します。まず最初に5X(3コマ目)が受け無しなのがすぐ分かると思います(これは次のコマのような置き方以外考えられないでしょう)。更に5T、5Lになりますと厄介です。5TはU面の尖りが怖く、6コマ目は非常に危険なケースですので、7コマ目を選択するでしょう。8コマ目からの5L2連ですが、これは9コマ目のケースが最悪です。実際に筆者が死亡例をFig. 5で掲載しますが、このケースはFIg. 4の3コマ目で辛うじて及第の形にした手が悪手になる事が避けられず、ほぼ詰んだ状況なのです。また、5Kは非常に相性の悪い形で、これは5Tの平置きのケースでもプレイヤーを悩ませるものでした。この場合も、12コマ目の隙間は無いが高低差が出る形と、13コマ目の紫勝負の形とを比較して現在のレベルに応じて最適な方を選ぶ必要が出ます。最後に、5Hの場合です。これは敢えて15コマ目の紫勝負にとるまでも無く、16コマ目のようにコーナーに高い部分を追いやれる配置が存在する為、5T平置きの時に起こりうるトラブルよりは大分対処しようがあります(なお16コマ目の図の左下の場合ならばBCですが、左上のコーナーに押し付けるにはCCBで1手余計になります)。
 以上のことを考えると、所謂「はんぺん受け」と呼ばれる目の作り方は避けた方がいいか?、という疑問もありますが、あくまでも収容の限界が限られる3×3の場合の受けの問題で不適とされている物もあり、基本的に立体テトラキューブや5Qなどの6面台に登場可能なブロックは、この4Oの空間に適したキューブであり、それらの受けを狙って区画を形成することは十分考えられます。また、Round 28などでは、態と5Lで切った区画に出現率の非常に高い4Oを待つ(場合によっては立てて刺し、2回分あるいは4O+CS/CZ/5Qの受けとするのも考えられます)。そのため、ピットの底面積による平置き自体の有効性は他のポリキューブでも紹介していますが、その中でも特に3×3の攻略は常識的な判断をも狂わせる歪んだラウンドであることを、数々のペンタキューブと共に思い知らされるでしょう。

Fig. 2
Fig. 3
Fig. 4
Fig. 5

 平置きの場合の水平回転(Cボタン)については、冒頭で紹介した回転軸のお蔭で「コンパクトな回転」となるので、かなりトリッキーな回転入れを可能にしてくれます。その1つが平置きC回転と言えるでしょう。但し、回転方向が左回転(反時計回り)のみなのを忘れていないかと思います。Fig. 6でご覧のケースでは4Lが蓋をしている状態ですが、回転軸を[(2,2)]、または右下であれば[(4,4)]に合わせる形で5Lを置くことが出来れば、何とこれは入ります。これは見た目2マス分の穴に対して、スライドや他の回転では入らないような場所に対して利くというのがインパクトとしても大きいですが、何しろ回転軸が中空にあることで、5Lの一辺をX座標1の所[(1,1)-(1,3)]に入ることになっていて、イメージとして「より奥の隙間を狙える」のです。一方、例えば4Lではこの回転入れは不可能で、その理由は回転軸がポリキューブ内に埋まっているので、同じような埋め込み方を試みても4Lの長辺は(左上の回転の場合)[(2,1)-(2,3)]になり、想定している状況ではより奥のX座標には至らず、たいていのシーンではキューブ蹴りで跳ね返されます(Fig. 7)。特に右下の回転入れのパターンは、A0形態(初期状態)からすぐにA→Cとボタン2回で回転入れを行えるため、水平回転では右上に浮いた空間がある場合是非とも活用していきたいものです。

Fig. 6
Fig. 7

L面は、ド真ん中に穴を空けると差し込めないのと2段差を要するのが曲者

 初期状態からのB回転で移行するL面は、ぶっ刺しの形態です。これも最大ではトリプルを狙うことが可能な形ですが、4Lが最上段に2マスの空きを要するのに対して、5Lは直列3マス分の空きが必要になります。5Lのトリプル待ちと、他の待ち方の違いをFig. 8で考えてみます。最初の地形は、順に3I, 4L, 5Lでトリプルが狙えるような隙間を想定して開けてあります。5LはBボタンで1度回転すると奥側で差し込む形のL0形態となるので、まずはそれを右側の5L穴にあてがいます。次に、3I穴に対して填め込みますと、2, 3, 4段目を充填し、本来の目的だったフェイスよりも天井側に1段ずれた恰好になり、(通常であればダブル)となります。最後に4L穴。これは3段目の4Lを引っ掛ける為のフック([2,2,3])に引っかかる部分がないので、これは2段目だけがフェイスを消せることになり、4L目への刺し込みはシングルしか取れないということになります。5Lで多段消しを狙うのであれば、5Pのように削った待ち方では全く噛み合わないので、棒を待つようなラウンドで5Lにも期待しておく、というパターンが良いでしょう。
 5LのL面については3×3のピット特有であるもう1つの問題、「中央空けに非常に弱い」というのを理解しておく必要があります。これは非常にシンプルなことですが、この盤面ではどうやっても5Lを使って[(2,2)]にある窪地のマスを埋められません(Fig. 9)。そのためもあり、5Lは平置きのA面がそもそも安易に使えない形となっているので、L面で端に穴がある場合の整地ならよいのですが、そうでなければR面で避けるというシーンが多くなるわけです。逆に言えば、それ以外のラウンドであれば、必ず特定の穴に5Lを刺す方法は1つ以上存在します。もしこの穴を埋めそびれている状況が続く場合、5Lでとどめの1フェイスをクリアできる可能性を捨てないようにしましょう。
 そのためには、5Lを「立てた4Oの上に乗せる」イメージを掴むことが大切です。基本は段差の計算に始まり、更に応用技では不完全な地形の揃いを補完して、例えばスプリットで1段目と3段目のフェイスを狙ったり、刺し込みの先端の1フェイスだけをとるという攻撃的な手を使いこなし、狭いピットでも諦めないことが大切です。
 Fig. 10で、L面を使うことで3段目の緑の層を消すことが消すことが出来るケース(3コマ目まではトリプル完成の状態を示します)を例示しましたが、4~5コマ目で示すように、差し込み口が4Oの形は完全になっていなくとも、例えば3Lの形にえぐれていても1・3段目のスプリットを見つけ出せれば展開がぐっと楽になります。6コマ目は特殊で、消した結果が5T等の待ちになります。5Xや5Kでフェイスを消せる中央での待ちをこのような場合でも作ることが出来ます。ここで注意すべき点は、5Lを落下させた時の脚の乗っている地点を取り違えてはならないということです。Fig. 10のパターンはあくまで脚が1段目の青の層に乗ることを前提としていますので、[(1,1)-(1,2)]により高い地形があったり、[(1,3,1)]等にキューブが乗っていたりしますと思わぬずれが生じて、埋めてはならない黄色の層で穴が塞がれてしまいます。
 消去以外の敷き詰めの面では、5Lを4Oに立て掛けると便利な局面を考えるとよいでしょう。Round 5では初めて5Lが登場するラウンド(これより、5Lは5Iと並び最も早いラウンドで登場するペンタキューブです)であり、低い出現率ではありますが、一方の4Oの出現率は非常に高い為、5Lの立て掛けを学ぶには格好の材料と言えます(Fig. 12)。図では地面に対して高さ2の紫の層が埋まっている場合ですが、着地点が青の層であれば5Lの立て掛けは緑になりますし、紫であれば黄色の層を占める……と今までのガイドで学んだ段差の計算を忘れないで下さい。
 より広いピットでは、5Lは少しだけ使いやすくなりますが、それでも、短い辺の長さが3しか無い場合は、穴を長さ3の辺の中央にすると選択肢が狭くなります。Fig. 11では、3×4のピットで、端に穴を用意した場合と、中央に用意した場合とで、5Lの刺し込み方が1通り増減するというのを示しています(組み合わせ数が最大のケースは、5×5の中央待ちで、4通りの刺し込み方がありますが、中央が高さ3になる点を注意しなければいけません)。このことからも改めて分かる通り、5Lは端の穴を埋める上では非常に有力なポリキューブになりますが、それは中央に穴を待つというブロックアウトのポリシーからはずれています。また、同時に対処をしなければならない5Xとはポリシーが逆であること、5Cの平置きとは相性が良くないことなど、このゲームには「5Lと5Xという異なる種類のポリキューブの受けを常に探す必要が出てくる」というところが極めて厄介です。5Xの対処を守っているうちに、5Lを連打されてやられるというケースが、Round 29, 30などでよく頻発するのもそのためです。
 L面は基本的にCボタンでの回転による有意義な回転入れはありませんが、テトリスなどのように、積んである地形からは一見して入らないような回転があります。それがFig. 13aで掲げたものです。もし、ブロックアウトでのポリキューブの回転が、回転行為によって移動した軌跡を見ているのであれば、1段目の層の窪みから脚が抜けてくることが無いはずなのですが、実際には回ります*2。しかし、壁蹴りのルールがあることを忘れてはいけません。側壁だけは壁蹴りの影響を及ぼす為、もし壁にぴったりと5Lを付けた状態で回転すれば、動いた結果は1マスずれてしまうはずです。実際にやってみますと、これはFig. 13bのように予想通りの挙動をすることが分かります。。以上のことを考えると、ブロックアウトでの回転は以下のような流れで判定が行われていると考えられています:

Fig. 8
Fig. 9
Fig. 10
Fig. 11
Fig. 12
Fig. 13a
Fig. 13b

R面の3使いは回避に適した手筋だが、5Lの出現するところ3マスの確保は楽ではない

 R面は5Lの中でも平均手数が3手と、5Lの中では最もボタン回数を必要とする形態ですが、設置は非常にオーソドックスな3I使いとなり、4Lの段差がもう1段急になったと考えれば良いでしょう。したがって、4LのR面の攻略法を理解していれば、敢えて新しいことを覚える必要はありませんが、5Lは高さが3になります。不用意な3使いは、5TのU面同様に危険な扱いとなります。また、5Lや5Tの出現が目立ち始めるRound 29, 33などでは、態と3Iがストレートで入る目を残しておくという重要性が出てきます(Fig. 14の([1,1]-[1,3]))。その埋め方には色々ありますが、フェイスを消してから考える14a、CZまたは4Y(5K)と4Tを待つ形で5Xも対策できる14b、と、対応策は2~3通りの考えがあるでしょうが、自分の得意な戦法に持ち込みたいところです。5Tなどが同じ位登場するラウンドの場合、4L/5Tの待ちを残しておきたいところがある為、L面の差し込み口でのケアも出来れば上出来でしょう。
 高さ3の辺との組み合わせ方は、やはり4Oを埋めて早急に段差を無くしたいところですが、5Pもよい組み合わせです。5Pの場合は、0-1-0の立て方だと嫌な状況が多い為、出っ張りは端に寄せるべきでしょう。その他、3Lと組み合わせて4Lまたは4Tの伏せ待ちに取ることも考えられますし、5Hは2Iの部分を立て掛けるということができるので、覚えておくとよいでしょう。残る地形も、4Lの場合ではフラットな紫の層でしたが、こちらは5P待ちとさほど悪くはありません。
 回転入れのケースを、Fig. 16に掲載します。この場合の地形の残り方は、4Lでスライド入れを試みるよりも遙かに形が良くなるので、もしこんな形状が出来てしまったら試してみるのもよいかもしれません。この場合は、2段下の隙間があることを記憶しておかなければならないため、実際に試みるチャンスも少ない点はありますが……*3

Fig. 14a
Fig. 14b
Fig. 15
Fig. 16

B回転は平置き経由ならば階段落としに、それ以外はアクロバティックな回転入れに

 5Lの主要3形態を紹介したので、最後にBボタンによる回転入れのケースを紹介してこの記事の結びとしましょう。基本的には2種類のB回転のパターンがあります。まず、平置きを経由する形はA0→L0→A1→R0→A0というパターンと、その鏡映しに当たるA2→R2→A3→L2→A2のパターンがあります。そして最後にL1→R1→R3→L3→L1という、常に鉛直方向の高さが3となる回転方法があります。この2つの性質は少し異なるので、順を追って説明していきます。
 まず、平置き経由型のものは、5Lの高さが3→1→3→1→……と交互に変わるタイプであり、高さ1となるA面を向いた時は、必ず着地点から1段上に回ります。これらは、3×2のスペースに入らず、3×3のスペースならば収まる5X, 5T, 5Lの全てに共通しています。このため、回転入れとしてBボタンを利用するには、着地点から見て1段上の地形が凹んでいる必要があり、そのような地形を自分から作りに行くのはかなり稀であるといえるでしょう。寧ろ、この性質を生かして、平置きの階段落としで点数を貰うのがこの回転のセオリーとなります。その例がFig. 17aです。ペンタキューブの階段落としでBボタンを使用する時には、間違って2段目に乗せてしまってミスするということも有り得ますので、Fig. 17bの様なケースにならないようにしましょう。そのためには、一度平置きの面がどのように落ちるかを確認すること(A0~A3のどの体勢が自分の求めている結果なのか。Fig. 17の場合は、丁度初期状態のA0になって欲しいわけですから、BBBと3回転してあと1回Bを押すと元に戻るので、それが正しいやり方となるわけです)。他の形態の場合も、一度Cボタンで確認してからBBB→ABとテンポ良く、しかし慎重を期しながら階段落としを決めていきましょう。
 最後に大事なのは、A面を全く通らない経路のパターンで、このパターンは必ず鉛直方向の高さが3で、5Xや5T同様3×3の中心に回転軸が据えられている為、Bボタンでは階段落としも床蹴りも発生しないままぐるぐると同じ場所を回り続けます。そしてその基本的な性質と5L特有の中空回転軸によって生み出されるのが特殊な回転入れなのです。その最高の技こそが、3×3フィールドで左側の5Xで塞がれた穴に対する修復です。Fig. 18がその典型例ですが、これは5Xの位置が右側では成立しません。何故ならば、Bボタンによる回転は1方向しかなく、右上から右下、左下という順序で回る為、逆の動きが出来ないのです。これこそが、3×3の初手5Xに対して、左に寄せるという選択肢が定石となっている理由なのです。しかも、この3×3での5Lは、1本だけではなく2本の5Xに対しても隙間を埋めることが出来る、則ち、5Lを最初に差し込んだ地点から、壁蹴りなどに頼らず2マス奥までの隙間の充填が出来るため、2Iを伏せて待つような形にもこれ1本で対応できるわけです。但し、当たり前の話ですが2マス先の隙間がなければ回転すら出来ないので、入れることの出来る場合は限られています。平置きのCボタン回転と同様にこの芸当も回転軸の位置による恩恵なので、このシステムには感謝しておきましょう。

Fig. 17a
Fig. 17b
Fig. 18

総括

 5Lは3Lを拡大したペンタキューブであり、長さ3の2辺が直角に交わった形状から、2番目のマスに受けられないという致命的な弱点を持ちますが、それでも深い穴への刺し込みや順当な3使いにも使え、平置きは地形分断が4O形で残りますが、3×3以外では非常に使いやすい区画整理と言えます。
 回転軸が5Lの実体上ではなく、うろの位置に存在することで、回転がコンパクトになるのに加えて、平置きの場合のC回転や立てた時のB回転では他のポリキューブが逆立ちしても真似の出来ない回転入れを使うことが出来ます。中でも、L1→R1形態への変化は、最下段を左から2マス埋めるという技であり、3×3のラウンドで初手の5Xは左に立てるという定石を確立させるほど影響力の大きい回転入れです。

[*1]高さが3になるL/R面への回転を実施すると、同一方向に180°回した場合の高さが1マスだけ違うことになる。
[*2]同様の図形で5Cも回し続けることが可能。テクノス版の回転軸のルールに従うという仮定であれば、5Aでも可能な場合があるだろう。
[*3]仮にFig. 16で[(5,2,2)]が埋まっていない場合は、5CのU1形態からCボタンで→U0への回転入れが可能である。また、5Xの場合は青の層で1フェイス取ることが出来る。


目次: 1I | 2I | 3I | 3L | 4I | 4L | 4T | 4O | 4S | 4Y | CS | CZ | 5I | 5J | 5Y | 5X | 5T | 5L | 5C | 5P | 5Q | 5K | 5H | 5F
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