CSの最短回転経路 | |||||||
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A0 | neutral | ||||||
L0 | B | A1 | C | ||||
B0 | BB | L1 | BC | U1 | CB | A2 | CC |
R0 | BBB | B1 | BBC | U2 | BCB, CBC | L2 | BCC |
B3 | CBB | R2 | CCB | A3 | CCC | ||
R1 | BBBC | U3 | BBCB, BCBC, CBCC | B2 | BBCC, CCBB | R3 | BCBB, CBCB, CCBC |
L3 | BCCC | D1 | CBBB | D3 | CCCB | ||
D0 | BCBBB, CBCBB, CCBCB, CCCBC | U0 | BBBCB, BBCBC, BCBCC, CBCCC | D2 | BCCCB, CBBBC |
CSは、テトラキューブの立体3種類の中で、片割れのCZの「キラル」と呼ばれる性質のポリキューブです。キラルとは難しくいうと「鏡像異形」、つまり回転しても重なり合わないが、鏡写しにすると重なり合う2つの図形の組になっていることを指します(ヒトの右手と左手を見れば、それも鏡写し性質を持っていることが分かるはずです。それもそのはず、キラルというのはギリシア語の「手」から由来している言葉だからです)。
CSは、3Lの中央以外のキューブに、もう1個キューブが(Z軸方向に)付けられた形をしています。初期位置としては、A3形態の状態から手前方向に見えるキューブに、床側から1個引っ付いているという形になりますが、逆の端のキューブに床側から引っ付いている形ですと異形のCZとなります。CS/CZの見分けはつきにくいですが、互いの初期位置を見て、画面手前側に出っ張りがあるのがCS、奥側にあるのがCZとなります。これらは3種類の「着地面」があり、1マスの刺し込み、2使い(立てかけ)、3(3L)使いとなります。また、形態の数は12種類×それぞれに対する2通りの回転軸により、厳密には24通り全てが異なる形で存在します。よって、形態数の性質は4SやCZと同じであるといえます。
全ての立体テトラキューブ(4Y, CS, CZ)は、同じものを2個使うことで必ず一辺2の立方体が出来ることは、4Yの項でも触れています。Fig. 1のように、CS同士ならば連結しますが、CS形で開いた穴にCZを差し込もうとすると、逆に穴を塞いでしまうことに注意しましょう。
CS/CZは慣れるまで非常に難しい形状を持つだけでなく、キラルの対として存在するので、どちらか片方のみの待ちを正しく判断できるかが非常に難しいところです。しかしここは、ぜひこのキューブをマスターし、中級者への道を開きましょう。
Fig. 1 |
まずは、第1の着地面である1使いの形ですが、これがA面とL面となり、「Bで回転してもCで回転しても同じ面である」という4Yとよく似た性質を持っています。実際のところはL0はB2と回転軸を除いて同じ形状になるので、ダイレクトにA2やA3の形で置きたいだけならばBボタンを利用するほうがボタン1回分の節約となってよいわけです。さて、この面はキューブ1個だけ床方向へ迫り出しており(いわゆる「ポッチ」)、突き刺しで最大ダブルが狙える形です(正面がダブル面であるというところは、立体キューブならではの性質です)。Fig. 2で穴の方向を間違えないように覚えてください。地表部分の穴の開き方が、CZでは逆端になり、4Yでは3Lの真ん中部分に相当します。
また、消去には役に立たないとしても、「2マス立て掛け」の形を覚えておくのは重要です。Fig. 3の地形では、U面やD面であれば、2使いとなるためにフェイスを消す場面になるのに対し、A面やL面の補修込みの立て掛けは、深さ2の竪穴の用意を進めてくれます。Fig. 3の形状は、CZだった場合も同じ地形の受けに使えるため、立体のポリキューブに対する受け口が総じて高い傾向にあります(勿論、5Lや5Tなど意外な弱点があるので、1種の受けで満足しないよう気を付けねばなりません)。
また、そのような都合のいい窪みよりも、あと1マスでフェイスが揃う時にCSを差し込んだとき、2段目はどのような地形が残るかを気遣いながら消していくケースのほうが多いです。Fig. 4は、どんな戦略がありえるでしょう? 初期位置から順にA0~A3の地形を見ていますが、A0(2コマ目)は[(4,1)]が孤立した穴となるため、、4L/5Tで1行目を揃えるか、5Jを立て掛けて右のコーナーに高さ4を作るかという待ち方になります。A1(3コマ目)は左端に5Xを立て掛けておく穴が出来ます。5Tは回転軸が[(3,2)]にくるように平積みがよさそうです。A2(4コマ目)は? 左上のコーナーに3L形の待ちを残しています。4I, 5Jは勿論、次の立体テトラキューブや5Fの地点はあそこに確保するのが良くなりそうです。A3(5コマ目)は穴の分断を嫌った形ですが、穴に4Sの要素が多く含まれているように見えます。また、Round 27以降を想定すると5X受けがない(平積み地形を潰している)ので意外にも懸念材料の多い形に見えます。右下の地形を埋めて難解なキューブに対する待ちをじわじわ増やしていきたいところです。筆者的には上記のような理由でA3での消去だけ分が悪いと見えますが、他はラウンドごとのキューブ出現率や個人の好みによるのではないでしょうか。消すのを前提に考えていますが、勿論[(4,1)]の穴が孤立しそうなのを見通して高さ3に持っていくのもいい考えです。これは、多くのプレイヤーの意見を戦わせたい場面です。
上級テクニックにも1個だけ触れます。それは、2段目の3Lを揃える「中空削り」で、立体キューブのすべてに適用できる技ですが、削り目の下の地形にも気を配らなければならないというところが難度の高いゆえんです。Fig. 5のように、深く3L状に谷が広がっている場合です。この場合に、3L面を使うならばB/R面を使うというのも手ですが、谷の深さが2段以上の高さがあるときにA/L面を使い、より高い消去点を得ることが可能です。また、この図の場合はB/R面で3使いすると穴を塞いでしまいますが、それも解消できます。一方、CZは窪地にダイレクトインとなり、A/L面による1~2段目のダブル、またはB/R面による2段目の中抜きとなります(CZの項で解説します)。
回転法則と軸の関係には少しだけ注意を払う必要があります。まず、A面では、回転軸が3L部分の中央のキューブに位置しますので、Cボタンでの回転では床に面している脚の位置がくるくる変わります。これはどちらかというとFig. 6のような階段落としに適した回転といえます(同図では2回目の着地で100点が入った後、レバーを上に入れて位置を調整しています)。A面の回転入れはFig. 7のような形状がありえますが、差込口の観点から用途はそれほど広くないでしょう(90度だけ回したい場合だと、CSを目標地点に落とす前に蓋に引っかかってしまうため、180度回すパターンしか実用できない)。一方、L面でのCボタン回転は、高さが2ある脚の部分が回転軸です。よって、脚を中心に回るため階段落としには適しません。回転入れの形状は、Fig. 8の場合が考えられます。地表から見て高さが2の部分を1×2で埋める形になります。なお、画面上では灰色の回転軸が見えるわけではありませんから、今の形態がA面かL面かを覚えていないと実際にCで回して確かめる他ありません。勿論間違えた回転入れをすれば、あの金属音を聞く羽目になるでしょう。
本項では、形状ごとの解説に集中する意味で、Bボタンの回転については、全ての面の説明後に行うことにします。
Fig. 2 |
Fig. 3 |
Fig. 4 |
Fig. 5 |
Fig. 6 |
Fig. 7 |
Fig. 8 |
4Y同様、CSはB面が3Lの着地面を持つ形状ですが、同じ性質を持つのがR面です。そして、回転軸の違いですがB面は3L部分の中心に位置するのに対し、R面は天井に脚が向いている部分が軸の位置になります。B面とR面はそれぞれA面とL面の天地を逆にしたような対応関係を持っています。これらについては、3L面の埋め立てということで、さまざまなシチュエーションでお世話になると思います。それと同時に、3Lにはない2段目の出っ張りの単位キューブの位置によっては、今後のプランが悩ましくなるという点では、全ての立体テトラキューブに言える点でしょう。
4YのFig. 6として使った図を、Fig. 9に再掲します。ここで、2コマ目からの形態はB0~B3の順になっています(が、B2, B3はそのまま置くだけならばR0, R1としたほうがボタン操作を1回節約できます)。5Xや5Fの受ける箇所は良いか? 待ちが限定的でないか?……。実戦をもって、4Y, CS, CZ全ての盤面について訓練を積んだほうが良いでしょう。勿論、底が3Lの形状になっているからどれでも置くこと自体は出来ますが、どこ置く問題の場合では、それぞれのポリキューブの「脚の位置」が後々の展開に影響を及ぼすため注意しましょう。
CSの場合は、Fig. 10の場面をご覧になってもらえればよいと思います。10aであれば、これは必ず消します。他の立体テトラキューブの受ける場所は奥の1~2行目と決まっているわけです。では、10bはどうでしょう。これは奥3行が片側レーン地形となって苦しい形ですね。外壁の高さがもっと高ければ、勘の鈍いプレイヤーでも間違いなく警戒します。そして、CSを填めたらまずいので、CZか3L、あるいは5Q(この場合はU2形態であると待ちが良いので、ボタンはCBCです)しか手がないと分かるわけです。4Yを置いてしまうと、市松模様が出来て結局4Y/3Lの単騎待ちになりこれもよくありません。この形状にならないよう警戒して積むというのは勿論ですが、その場合も立て直そうと思って施した手が悪手にならないよう、積んだ後のことをよく考える必要があります。中級者以上であれば、勿論紫以上の層を狙って削ることも考えているかとは思いますが、それでも1段目・2段目のことを最大限に生かすにはと考えて積むのを心がけましょう。
最後に削りについてこちらも確認しましょう。これも天井に伸びた脚の部分が穴を塞がないように、形状をしっかり確認する必要があります。Fig. 11のように、脚の位置がどこになるかを見て、次に[(1,2)]の地点に穴ができないことを確認し、最後に間違えないようにAまたは自動落下を待って落とします。これで高度な削りテクニックの完成です。この削りテクニックは、たとえば4Yでダブル消去が可能な穴に対しても有効(Fig. 11の4~7コマ目参照)で、これはCSであろうとCZであろうと必ず穴を塞がずに削れるので、次善策として覚えておくとよいでしょう。
Cボタンによる回転について見ましょう。Cボタンの階段落としは軸のところがキューブの底面に面していると階段落としのしようがないので、軸以外の場所を高いところに引っ掛けて落とす方法になりますが、B面の場合(Fig. 12)、反時計回りの先端のほうを乗せて回してしまうと、高さが変わらないので注意してください。R面の場合(Fig. 13)は着地後の形に注意です。壁蹴りの発生もあるので、回転軸が壁に沿っていないかも確認しながら操作しましょう。
では、回転入れについてはどうでしょうか? 実はB面の場合も、回転入れが成功するのはA面でやったFig. 6とほぼ同じ地形です(CSを地表に落とすため[(2,2,1)]のキューブだけがない形)。軸の回り方が3L部分が1段目の高さにあるので、Fig. 6のケースより1段低い場合に入りそうに思われるかもしれませんが、それでは高さが2である脚の部分が先に激突してしまうので、高さが2段必要なのです*1。これがFig. 14で図示されています。
一方のR面での回転入れですが、考えられるパターンはFig. 15の場合です。A面またはL面のCSと同じ形状をした隙間に対してCSを回転入れし、2×2×2の立方体を作るパターンです。なお、3行目の1列の青がある場合は左上方向に斜めのスライド入れをすればいいので、回転入れを使うのはこうした限られたケースとなります。この例は地表に接している2Iの部分が非常に長い距離を移動するため、スペースの確保が必要な割りにスライド入れで代替可能なケースが殆どとなります。
Fig. 9 |
Fig. 10a |
Fig. 10b |
Fig. 11 |
Fig. 12 |
Fig. 13 |
Fig. 14 |
Fig. 15 |
最後の形態として残るのはU面とD面です。この形態は着地面の2I、さらに1段上の2Iが互い違いに組まれた形となり、「2使い」として最も有名です(普段「2使い」と言われれば、CS, CZか5Hが一番有名でしょう)。これらは2マスを効率的に埋め、かつその上に残る地形も2I形という形です。とりわけ、この形がU面に割り当てられているというのが最大の肝であり、CS, CZに共通してこの2使いの形態に移行できるCB(→U1形態)というボタン操作が重要視されています*2。そのCB操作が真価を発揮するのはボーナスステージです。2I穴を埋めてフェイスを取れるという場合には、ノータイムでボタンをCBと入力します。その結果、CSならFig. 16aのように2Iが下に向くのであとはCで調整するだけです。CZはFig. 16bで同様です。ほかは図を割愛しますが、1Iならば変わらず、2Iならば寝たまま縦向きになります。4Yはもともと2Iに弱いので引いたら諦めるとしても、CBで2マスを埋められないのは4Yと3Lのみになります。3Lについては2手損の法則を使い、CBの後にBCと入れると、CBBC=BBと同じ回転になり、2使いのR0面を呼び出すことができるのです。結論として、ボーナスステージ中に発生した2Iの穴に対しては、CBを決め打ちで入力するというのがフェイスを消せる確率が高いことがわかります。
このCSとCZでどのように地形が残るかははっきりと分かれます。Fig. 16の同じ縦に走る窪みでも、消去の結果残る窪みは上下(奥・手前)の違いが生まれます。Fig. 17では、1段差の地形にCSを立て掛けるとどんな具合になるかというのを見ていますが、中央を高くする待ち方を避けることを選ぶとなると、最後の手が一番良いと思われます。CZの場合では鏡写しとなる以上、これが上下逆になります(詳しくはCZの項で紹介)。言うまでもなく2段目の地形もその後の積み上げ方に影響してきますので、特にRound 20以降に挑戦するプレイヤーとしては、「あっ、いい隙間があった! じゃあ即落下」と無考慮で決め打ちするのはよくありません。速やかにそのような急ぎ癖は是正し、常に最良の待ち、最大限の可能性を模索するというのが、このゲームの求める厳しさなのです。
U面とD面においては、妥協による削りをすると、どうしても上段の2Iが必ず穴を塞ぐため、速やかに対応しなければならなくなります。それがFig. 18です。妥協消しのパターンは2通りあり、2段目の紫の層を優先して削りに行きたいわけなので、穴の周囲は高さを抑え、折角こじ開けた穴の上にまたゴミが積まれているということがないように、(現在の地表-1)段目の穴の位置はしっかり把握しておきましょう。三次元ゆえの難しさが、そこに潜んでいます。図では4Oの形状をした穴について見ましたが、勘の良い方は気付いているかも知れません。実は鉤型の穴(3Lを差し込んでダブルが得られるパターン)にCSやCZを差し込むと、隙間を作らずに妥協消しできるという場面があります。これは、Round 27のようにCS/CZは出るが4S/4Tが出にくいラウンドで、そのような穴を作った場合にも安心の対応が出来るのです。これで、2使いに感謝する理由は十分でしょう。
さて、穴が塞がれる箇所は回転軸と同じ位置に当たりますが、U面は回転軸が天井寄り、D面は床寄りになっています。これらは、Cボタンによる回転入れの差が発生しないため、Bボタンによる回転入れの場合を除くと、D面を使う価値は今のところ無いといえます。それに合わせて、Cボタンの水平回転を見ていくことにします。
気づきにくい階段落としのパターンはFig. 19に挙げられます。軸の隣に高い部分を置いて回転で外していくのが階段落としのルールですが、この状況でCSを使うと2回[(1,2,3)]の高さ3の足場に引っ掛けることができるという面白い稼ぎパターンが使えます。この図と同じことをCZでやるとかなりややこしい知識が必要になります。これもCZの項で触れることにします。
回転入れですが、この形は回転入れには適しません。なぜなら、Fig. 20aを見ると、1段目にぽっかり空いている穴を埋めるためにCSで回し入れに成功しても、今度は[(2,3,1)]に穴が開きます(この空洞は1Iを引くか、2Iの伏せを使うしか補填手段がありません)。また、CSの浮いているキューブ(Fig. 20aでいう5コマ目の[(2,3,2)])を回転入れで埋めようと考えても、その部分を埋める前に1段目に空洞ができていないといけないため、回転入れをしても結局穴が残る事実には変わりありません。この地形に対してCS単独で隙間をなくすには、結局のところスライド入れをする方法(Fig. 20b)しかありません。先ほどの事例は、もう既に青の層が死んでいて紫で何としても揃えなければならない、というような高等な事例の場合にのみ有効と考えられるものです。
Fig. 16a |
Fig. 16b |
Fig. 17 |
Fig. 18 |
Fig. 19 |
Fig. 20a |
Fig. 20b |
4Y同様、Bボタンによる回転の中には、水平回転と全く同じ挙動をするケースがいくつかあります。A/L面とB/R面は全く同じ形態なので、A0→B0, L2→A2, B0→R0, R2→B0は180度回転と似たような挙動です(実際には回転軸の変化があるので注意)。一方、U/D面は同じ形状ですが展開図としては互いにX軸を中心に180°逆となっているため、U/D面はBボタン1発で同じ形態になるものはありません。個々の事例をこれから見ていきますが、初期形態基準ではなく、Bボタンで変わる4形態について、最後が床蹴り(地表で回転不可)になるように図示をしてありますので、ご了承ください。
まずA0を基準としてBを押し続けると、Fig. 21aで見られるA0→L0→B0→R0→A0の回転が起こりますが、階段落としがL0→B0で発生、床蹴りがR0→A0で発生します。R0→A0は床蹴りが発生し、地表では回転ができない代わりに、地面へめり込ませる形の回転入れが期待されます(Fig. 21aの10コマ目以降にて図解)。また、Fig. 22aでは、B0形態のCSを回転入れしていますが、CCではどうしても5Xが邪魔して入れられなかった場面を、Bボタンで切り抜けています。2通りの回転を使い分けられればもうこのサイトから学ぶことは何もありません。
同じことは、水平方向に180°回転したバリエーションの、L2→A2→R2→B2→L2についてもいえます。Fig. 21bで分かる通り、階段落としはA2→R2で発生し、床蹴り(めり込み)はB2→L2で発生します。Fig. 22bは、Fig. 22aのB0と同じ形のR2を代用して実行しています。Fig. 21のそれぞれの後半部分で使用した「めり込み」や、Fig. 22のCC相当の回転は、回転軸の位置が違うにもかかわらず、どちらも正しく機能します*3。
ここからはBを押すごとに3種類の着地面が入れ替わる場合です。まずはFig. 23aでA1→U1→B3→D1→A1の場合をみてみましょう。この場合の階段落としはU1→B3で発生し、D1→A1で床蹴りが発生しますが、D1→A0の床蹴りは回転入れに適しません。3段目に浮いた2I部分を打ち下ろす形で、[(3,2)]地点に高さ2の脚を下ろすため、同地点には高さ3の空間が必要ですが、それだったら初めから回転入れなどしないというわけです。その代わり、Fig. 23aの10コマ目以降で見るように、A1形態からBを押すことで、「CS2個で立方体を作る」タイプのねじ込みを使うことができます。ブロックが長い距離を移動するため、見落としやすい手順です。
ということはお分かりでしょう。A1と同じ形状を持つのはL3でした。ということは、U0→L3→D2→R1→U0の場合に、A1スタートの場合とパターンが被ることがわかりますが、違うのは階段落としや床蹴りの対象となる着地面です。Fig. 22bの通り、この場合は階段落としがL3→D2、床蹴りはR1→U0のときに発生します。A1スタートのパターンとずれています。ということは、回転入れも違うはずです……。結果としては、R1→U0の時もめり込み形の回転入れをするメリットがないので割愛します(高い所から同じ底面の座標へ下ろしてくる変化は、隙間を埋める働きを持ちません)。役に立ちそうなのは、Fig. 23bの10コマ目以降にある、D2→R1で隠れた隙間を埋めるテクニックでしょうか。
最後のパターンの組として、L1→U2→R3→D0→L1の場合をみてみましょう。こちらはFig. 24aです。階段落としはU2→R3、床蹴りはD0→L1で発生します。回転入れの活用はこれも機会が限られ、一例として、D0→L1のめり込み形を使って洞窟のように入り組んだ状況の隙間を埋める高度な回転入れの例を10コマ目以降に示しています。スライド入れからの回転入れという、まず滅多にお目にかかれない手順で、しかもD0スタートということは回転ボタン操作が6回必要ということにもなります。
対となるU3→A3→D3→B1→U3の場合をFig. 24bでみてみましょう。階段落としはA3→D3、床蹴りはB1→U3でそれぞれ発生します。このパターンは残念ながら、隙間を減らす回転入れや、スライド入れで代替できないものはありません。A3→D3の階段落としのみを目的で使用することになります。
以上でBボタンによる回転の講座を終えますが、ここまでお読みいただいて分かる通り、非常に難解なものばかりです。いずれも、24種のポリキューブの中からピンポイントで引き、地形の御膳立てが整っているという状況はめったになく、また間違ってCZを引いてしまったことに気づかなければ、誤った回転を試みただけで終わります。もしもの時の保険としては、役に立つかもしれませんが。なので、階段落としが発生する場面だけを覚えておけば済むものと思います。
Fig. 21a |
Fig. 21b |
Fig. 22a |
Fig. 22b |
Fig. 23a |
Fig. 23b |
Fig. 24a |
Fig. 24b |
CSはアーケード版ブロックアウトで唯一のキラルの組であり、対となるのがCZです。このテトラキューブはCS/CZとの形の判断が難しく、一方のみ受けられる形を覚えておかねばなりません。3種類の着地面があり、それぞれ1I, 2I, 3Lの形状をしているので、地表を埋める自由度は高いですが、地表の1段上の地形にも気を配り、最善手を見出す必要があります。また、CZならばどうか、という比較もしてみなければなりません。実際のプレイでは、落下中に回転して形を合わせながら嵌合するかどうかを判断することになるでしょうが、咄嗟の判断で見極められるようになれば、あなたもブロック・マスターです。
A面とL面、B面とR面が見た目上水平180°回転しただけという性質から、BボタンがCCの代用となるシーンが見受けられます。回転入れや階段落としについてはCSの形状から捩じ込みたいところに先に引っかかりができるケースが多く、また成功例も非常にピンポイントなケースで複雑極まりなく、いきなりこれを覚えるべきではないでしょう。B, Cともに階段落としのチャンスはそれなりにありますが、はじめのうちはスライドかCによる水平回しで脚を落としていくやり方が堅実でしょう。
[*1]同じシチュエーションでCZを回転入れすると、脚ではないほうの端が先に入るため、穴の高さは逆に1段でなくてはならない。詳しくはCZの項を参照されたい。
[*2]CS, CZどちらの場合もこのボタン操作で解決することから、プレイヤーのひとりであるりゅうさんによる「CB革命」という呼称が普及しつつある。
[*3]これは、回転軸のY座標以外の値が同じであれば、Y軸を中心にした回転(Bボタン)の結果が同じになるという法則から導き出される結果である。Cボタンの場合も、回転軸のZ座標以外の値が同じであったためZ軸を中心にした回転結果が同じになる。勿論のこと、海外版Aボタンについても、同様の法則が成り立つ。