BLOCKOUT: ポリキューブ概要: 5Q


回転法則図

5Qの最短回転経路
A0 neutral
L0 B A1 C
B0 BB L1 BC U1 CB A2 CC
R0 BBB B1 BBC U2 BCB, CBC L2 BCC
B3 CBB R2 CCB A3 CCC
R1 BBBC U3 BBCB, BCBC, CBCC B2 BBCC, CCBB R3 BCBB, CBCB, CCBC
L3 BCCC D1 CBBB D3 CCCB
D0 BCBBB, CBCBB, CCBCB, CCCBC U0 BBBCB, BBCBC, BCBCC, CBCCC D2 BCCCB, CBBBC

皆勤賞の最小ペンタキューブは、その汎用性に反し回転法則の完全な暗記が求められる凶悪さを持つ

 アーケード版ブロックアウトでは、ペンタキューブの数が大幅に削減されており(29種の内、17種が削除)、そのうち非常に設置難易度の高いキラルのポリキューブ(6組12種)に関しては全廃という思い切った舵取りを断行したことで、依然としてランダム性の高いゲームではありながら大きな破綻がないように遊べるようになっています。そのお蔭で、これを含め立体ペンタキューブはたった4種類しか出現しません。しかしそのどれもが最上級の設置難易度を持ちそれぞれに個性が豊かです。
 そしてペンタキューブは体積が大きく扱いにくいというのが常識となっていますが、それを唯一覆す存在であるのが、その4種類の立体ペンタキューブの1つ、5Qです。大きな特徴としては、全ての回転形態において長さが3となるところが存在しない、2×2×2の立方体の中に収納できるという、唯一*1の性質を持っています。したがって、2×5の底面積を持つ6面台においてペンタキューブの中ではただ一つだけ出現できる皆勤賞のポリキューブです。5Qの初登場はRound 6*1の性質を持っています。したがって、2×5の底面積を持つ6面台においてペンタキューブの中ではただ一つだけ出現できる皆勤賞のポリキューブです。5Qの初登場はRound 6*2であり、その理解難易度としてはあまりにも早い登場となりますが、実際に使ってみるとA面の4使いは4Oの平置きと同様ですし、B面の1使いは高さを上げることができ、更に2~3使いもできるので汎用性が非常に高いですし、小さな立方体に収まることにより、高いレベルでも地形に引っかける可能性が極めて少ないことも利点ですので、早いうちから5Qの感触を覚えていくことは大変重要です。
 しかし、その反面として5QのA/B面以外の2使い(L面とD面)、3使い(U面とR面)は全てのパターンを暗記する必要があるほど目的の形態まで回しにくいポリキューブであり、悪いことに鏡写しの反対の形に移す場合の手数もケースによりばらばらです。高いレベルの時に間違った回し方をしてしまったのに気付いてもそのときには既に遅し、じわじわと置き間違えた、或いは妥協をして置いたところのマスが効いてくるという極めて性質の悪いポリキューブです。

覚えやすい4使いと1使いは間違えず、時間を使って考えよう

 底面が4使いになるA面と、1使いで真上の4マスを一気に埋めるB面は、非常に形が見えやすい上、B面はBBと操作するだけで良いので、回転の仕組みさえちゃんと分かっていればとても扱いやすいことが分かります。その中でも初期位置のA面は4Oの平置きと同じ嵌め込みになるので、同項の記事を見て頂ければよいでしょう。残るは2段目に突き出る突起ですが、これがC回転による軸になりますので、高次周攻略において5Qを既に知っているのであれば突起を自在に配置して2段目の待ちを有利に作りましょう。また、ブロックアウトは四隅の壁のみ壁蹴りが有効なので、6面台においても回すことが出来ます。しっかり四隅を高くして次のポリキューブに備えましょう。
 B面は1使いの形で、広いフィールドにおいては置き場所を意外にも探しやすい他、高次周においても6面台のダブル・ブロック・アウトを決める一手(Fig. 1)となる可能性が高いため、確実に安全を取ることが出来ます(2使いのL面とD面も狙うことはできますが、その操作難度は跳ね上がります)。置いた後の地形は4Oの平置き形になるので、4Oの平置きに相性の悪いポリキューブには注意が必要です。
 Round 6から初めて5Qに遭遇するプレイヤーは、7マス分の自由落下の猶予の間に置き場所を決める必要がありますので、低いレベルなら十分に回してどのような形が取れるのかを考えられますが、高いレベルになると相当余裕がないかと思います。Fig. 2のように3使いが残ってしまった場合としては、ボタン回転はCBが最速(同2a)なのですが、それを知らずBを回してしまい2使いと混同したまま置いてしまうとクリアが遠のきます。4マスの土台部分をフルに使う形はCボタンによる回転が予測しやすいので、それで勝負を賭ける手が有効に働きます(同2b)。
 また、同じ6面台において覚えておくと有効なテクニックとして、ちょうど5Qがすっぽり入るダブル目を形を作っておくと、どのブロックを引いてきてもフェイスを消すことができるという性質があります。これを覚えておくと、プレイヤーの中には慣れるのに苦労している人もいるRound 26以降の6面台でも戦いやすさがうんと高まります(Fig. 3)。

Fig. 1
Fig. 2a
Fig. 2b
Fig. 3

残りの16形態は暗記必須、3使いと2使いは安易な振り替えが許されない

 接地面が2I型になるのはL面とD面、3L型になるのはR面とU面となります。少ない回転数で向けることが出来るのがそれぞれL面(最短1手、平均2.5手)とU面(最短2手、平均3.5手)、回転数が多くなるのがそれぞれD面(平均4.5手)とR面(平均3.5手)になります。この2つのパターンで、それぞれ平均としては一緒になるのですが、1手で済むケースが唯一存在する2I型と5手かかるケースが1種類しかない3L型とで分かれているというのは、お互いの操作性が単純に交換関係にないということで、特にパターンの習熟を難しくしています(日本語版はそれに加えてX軸で回転するボタンがない為、上下対称形への変更が直感的にできないのも辛いところです)。とりわけ形の区別が口頭ですと特に説明が付きにくいのが5Qの各形態なのですが、分類として突起部が上下左右のどちらを向いているかによって区別しようと思います。
 以下に挙げるFig. 4はそれぞれの3使い形を突起の向く方面を上下左右に分け、さらに4O部の左右どちらに付いているかによって形を区別して掲載しています。一番早い3使いの形は突起が右を向く場合で、逆に一番遅くなる形は下を向く場合となります。突起の向き違いを考慮した両方のケースでは、途中まではなるべく同じ回転を経由する回し方をしていますが、中でも難しいのはFig. 4c, 4dの突起が左や右を向く形で、付く場所を変える為に最後の回転を行う直前にCで1回余計に回すことが必要になっています。上下に向いているパターンはBを1回または3回押し続ければ線対称形に持ち込むことが出来ますが、左右に向いているパターンは線対称のパターンがX軸を中心に回さなければならない形であり、国内版ではそのようなボタンがないが故に一度の操作ミスが取り返しの付かない違いを生んでしまいます。

Fig. 4a (R3/U2)
Fig. 4b (U0/R1)
Fig. 4c (U3/R0)
Fig. 4d (R2/U1)

 同様にFig. 5として2使いのケースを掲載します。L面とD面ではかかる手数に大きな差と偏りがあることから、どちらがより多くボタン操作が必要かが見分けがつきにくいという問題があります。
 中でも特に気をつけなければならないのは突起が左に向くFig. 5cのパターンで、上(L2)はBCC、下(D1)はCBBBと最初のボタン操作から違うという(最初の3手は全く逆になる)ということから、お互いを取り違えるとかなりの手数を浪費することになります。同様にFig. 5dの右を向くケースも初手が違いますが、こちらは方や1手で済むL0面のため、このパターンを覚えなくとも済みます。また、難しそうに見えるD3面もCボタンで突起の位置を回しながら見て判断が可能なので、右向きは左向きと比べて間違いにくいと言えます。

Fig. 5a (D0/L1)
Fig. 5b (L3/D2)
Fig. 5c (L2/D1)
Fig. 5d (D3/L0)

 このような状況で、特に突起部が左右を向く場合のパターンについて習熟が不十分であったり、或いは非常に落下速度が速いラウンドのレベル5に到達してしまうと「サボり」といって3使いや2使いの形で嵌めることはできても上の段の穴の空き方がよくない形を作ってしまうという状況が起こりえます。前者であれば全てのパターンをちゃんと暗記しろと言われてそれで門前払いになってしまいますが、取ることのできる行動が少ない後者のパターンにおいても、望む形に5Qが回せずに死んでしまうということが頻繁に起こりえます。一番小さいペンタキューブでありながら、「5Qの全パターンが分かってやっと一人前」といわれるだけの壁になっています。
 典型的なサボりと呼ばれるパターンがFig. 6aです。2使いの中でも非常に手が早いL1形態(ボタン操作BC)で済ませてしまいたいところですが、中央が高いと受けが悪いというアンチセオリーになってしまいます(4Tの項などで触れています)。そこで、6bのように余計に手数がかかっても最適な置き方を目指すべき、というのがブロック・マスター達の見解です。勿論、今回のような例で、かつRound 19のLevel 1という状況であれば、回転を覚えるためにじっくりとボタン操作を試すことができますが、Level 29のLevel 4以降などという場合、これは大分難しくなってきます。更に、Round 30のような基本スピードも速い上に狭いために地形との衝突がありうる場面では、5Qの2使いや3使いが危険ということにさえなります(例えば3使いは最低でも2回のボタン操作が必要)。例えば奥に2使いの待ちで5Qを引いた時は、L3目を呼び出す為にBCCCとボタン入力をし、さらにはレバーで左上を入れて埋めるという厳しい操作が要求されますが、Round 30, Level 5の時点では、回し方を思いつくのに仮に1秒遅れてしまうと、(Round 30, Level 5の自由落下速度は19フレームごとに1マスのため)それだけで自由落下が3マス発生してしまい、おそらくは4使いで平置きする場所を確保する為になんとかレバーを入れることぐらいしか出来なくなってしまいます。しかも、0.5秒で思いついた! という場合はもっとひどく、残り0.6秒程度で全ての操作を完了しなければなりません。つまりは、ほぼピットの半分の高さまで積ませられたら、Level 5に突入した時点で最早生きるも死ぬもネクスト次第、もうゲームに命を握られてしまっている状態です。
 5Q, 5K, 5Fの3種類の立体ペンタキューブは4マスの部分が底面に出現するため、3×3×8の地形ならば7段目から自由落下を始め、一段低いマスに即死地点が4カ所存在することになります。そのため、これらが出現するラウンドはいつにも増して低く地形を構えなければならず、当然ながら多段消去点を狙うリスクは殆どありません。そのため、地道に1段ずつ消していくという一見つまらない行為のために、状況判断を集中して行い脳のリソースを運用していく側面が、このゲームを最もストイックな落ちものパズルゲームの一つたらしめる理由でしょう。
 コンパクトな形状である5Qは全ての辺の長さが2以内で収まるため、長さが3以上ある辺に対するフォローは他のポリキューブが必要になります。6面台以外のラウンドでは、前に説明したように、地形全体に対して高さを揃えたり地形を平たくしたり起伏を少し付けたい、というようなちょっとした地点をピンポイントに積んでいくためのブロックです。特に、4Oと1Iを足した形状というのは、やはり3×3での扱いが難しく、これらのラウンドでは、6面台で有力な待ちである5Q開けをやってしまうと、3×3に於いて極めてリスクが高い結果になると言わざるを得ません(Fig. 8、順に4L, 5X, 5T, 5C, 5F)。これほど食い合わせの悪いツモが多いとは思えないものです(また、穴が真ん中にある場合は5Lも地形を分断するか段差を著しくする悪形を生みます)。

Fig. 6a
Fig. 6b
Fig. 7
Fig. 8

万能ぶりをどう活用する? 序盤の置き方と6面台の戦略

 5Qは初手や他の地形との相互作用がない場合に設置すると、大概適当な起伏ができますので、4使いか3使いでの配置には多くのブロックが合わせられます。ただし、4使いの方が組み合わせやすかったり、逆に3使いの場合が合わせやすかったりする例もあるので(Fig. 9)、頭の中で他のポリキューブと組み合わせたとき、5Qは色んな受けを作りやすいが故に、使いどころが少ないポリキューブよりも一瞬の発想が重要になります。逆に2段目の方が大きい体積を占める2使いや1使いは、2段目に当たる地形の具合を判断しましょう。1使いの場合は、4Oの平置きと同じ形が展開されるため、ダブルが取れない限りは4Lの伏せダブルの受けが常に見えています。そのため、4T, 5Lおよび短い3L部を含む4T, 5Y, 5P……なども置き場が自然と決まってくることになります。よって、選択肢で迷うべき所は、他の受けにくいブロックが来たときに置き場所があるか、また深い溝ができそうな場合は何で埋められるかという点になります。特に、Fig. 10での2使いの幾つかのバリエーションを観れば分かる通り、この形態は時に周りを深い溝で覆ってしまいがちです。深い穴は「このラウンドであればこのブロックが多く来るであろうから、一点引きを待つ」という極めてリスキーな戦略でもあります。引ければよいですが、立体ポリキューブの出現可能性あるいは出現率などを考えて、安全に手組みをしなければいけないところです(特に立体ポリキューブの連打は、特に3×3のステージで周りの地形が2×3などに不都合にかさんでいく原因になります)。
 6面台においての5Qは、2通りのダブル・ブロックアウトの狙い方があり、どちらを狙うにせよ、2待ちで1Iを引くケースだけを除き、必ず出てくるポリキューブで1フェイスを必ず消すことができます(Fig. 11)。そのため、5Qの形に揃える、というのは大きな利点があります。とりわけ、5Qは図形に4Oを含んでいることで、初手をA面の4使いにして残りを3L2つの形に纏めたり、あるいは3使いで4O部分を上下の壁に押しつけることで残りの区画を区切る大きな仕切りを作ることができます(Fig. 12)。また、6面台に於いて中央に4Oを立てて4O2丁待ちを作るスタイルに置いても、3使いなら4O, 3Lという効果的でばらけた待ちを作りやすいので、安定性の上でも一定の効果が見込めます。
 また、5Qはその4Oの部分を生かして崩れた地形を補修するのに有効です。例えば終盤だと勇気の要る補填方法ですが、引きが噛み合わず高さが出たところで市松模様の待ちになってしまったとき、B面の1使いで1個ずつ最下段の穴を埋める手が使えます(Fig. 13aの3コマ目)。この1使いは、まさにブロックアウトの一番見えているフェイスを最優先で取るという思想を体現したものです。これにより、より上の段を消すチャンスが広がることで、ノルマのフェイス数削減、即ち土壇場からのクリアにつながるのです。これを穴をなるべく効率よく埋めるぞ、ということでFig. 13bのような埋め方をすると、6面台の高次周では引きにくい3L差し込み待ちとなる上、立体テトラキューブや5Qの出現率の非常に多い状況では穴の周りの地形が嵩んでより掘り起こすのが難しくなる、さらには4Yではフェイスを消すことさえもできないのは変わりが無い上中央に待ちを作るので上の段に捨てておくのが極めてやりにくいなど、多くの問題があることが分かります。
 ブロックアウトでの地形の維持は、勿論穴が空いてしまった下の層を掘り返せるようにカバーすることも重要ではあるのですが、全てをきっちりと埋めようとすると、逆に下を掘り起こす前に必要な上の段の処理が苦しくなるという場合があり、特に下の穴の状況を完璧に記憶していない限りはやたらに深い穴に刺してフェイスが取れるのを祈るような戦法にはまっていってしまい、頑張れば切り抜けられる可能性が少しでもあったチャンスを逃してしまうということが出てきます。少なくとも20面以降をプレイしてみなくてはこの意識を得るのは難しい(まして、ゲームセンターでお金を払ってやっているのであればなおさら)ですが、それを理解した途端に狭い盤面から多くの可能性が引き出されて中毒性があらわになり、そして他のプレイヤーの観戦が俄然面白くなってきます。

Fig. 9
Fig. 10
Fig. 11
Fig. 12
Fig. 13a
Fig. 13b

4Oに類似する回転移動は、軸が見えるためより分かりやすい

 5Qの回転による特殊操作は、4Oの項が大きく参考になります。回転軸の位置は、4O部分の突起が乗っているキューブの位置にあるため、所謂4Oのその場階段落としも軸が可視化された状態になります(Fig. 14a)。これは4Iと5Yの回転軸の位置関係とよく似ています。4Oでその場階段落としの可能な、回転軸が右上にある状態は、1Iの突起部分が右上に位置しますが、B回転により、その回転軸を中心に1段浮き上がるような形となって1マスの自由落下が発生、これによって階段落としが発生します。一方、階段落としが発生して回転軸が4Oの右下に来た場合、特に地形が邪魔をしていない場合はBで回転すると回転軸が左下に移りますが、そこから更に回転軸を中心に回そうとすると、回転結果が地面にめり込む形となり、回転できないということも分かります(Fig. 14b)。

Fig. 14a
Fig. 14b

総括

 アーケード版ブロックアウトでは大分数が削減されてしまった中、残った4種の立体ペンタキューブの1つである5Qは、一辺が2の立方体の中に収まるペンタキューブで、他の立体テトラキューブ同様、特殊な環境である6面台の中でその操作方法を学んでいく重要なブロックです。4Oの上に1Iがちょんと乗った形状は積み方が分かりやすくしかも色んな場面で使いやすい形ではあるのですが、回転方法の制約により底面2使いと3使いの使い分けをするために回転法則を全て暗記しなくてはならないというまさしく中級者泣かせ、そして上級者でさえも警戒するポリキューブです。
 

[*1]原作版を含めた場合、5Aもこれに該当する。
[*2]4Oと同様に出現すれば必ず1 face貰えるためか、ボーナスステージには出現しない。


目次: 1I | 2I | 3I | 3L | 4I | 4L | 4T | 4O | 4S | 4Y | CS | CZ | 5I | 5J | 5Y | 5X | 5T | 5L | 5C | 5P | 5Q | 5K | 5H | 5F
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