BLOCKOUT: ポリキューブ概要: 4Y


回転法則図

4Yの最短回転経路
A0 neutral
A1 B, C
B0 BB, CB A2 BC, CC
B3 BBB, CBB A3 BCC, CCC B1 BBC, BCB, CBC, CBC
B2 BBCB, BBCC, BCBB, BCBC, CBCB, CBCC, CCBB, CCBC

得意な地形の差が出易い、初の「立体」ポリキューブの1つ

 三脚の棘が生えた形状をしている4Yは、ラウンド11あるいはボーナス・ステージの2回目以降から必ず登場してくる、フラットでないテトラキューブの1つです。立体のテトラキューブの中では唯一、鏡写しの形が同形となり、その形態は僅かに8通りしかありません。床を向いている突起があるA面と、天井を向いている突起があるB面のそれぞれに水平回転の方向が4通りあるだけで、目的の形にいつまでたっても回らない、ということはあまり起こりません。また、面白いことに4Yは最初の回転について、BとCどちらのボタンを使っても必ず同じ形態(A1)になります*1。形態が8通りしかないため(8通りという変わった形態を持つのはこれだけです!)Bボタンの回転は2通りのループしかないのですが、そのうちA0→A1→B0→B3→A0というのが存在するからです。また、どの形態も4手でアクセスできるため、最初に1回ボタンを押しておくと、3手以内で全ての形態に移行(A0は、もう一度BBBまたはCCCと押すことによって、4回転で初期位置に復帰)することができます。
 敷き詰めの上で厄介な性質として、4Tの項でも触れたパリティの特殊性があります。テトラキューブの4Tと同じく、3次元の市松模様の空間に4Yを置くと、黒マスと白マスの比が3:1(またはその逆)となるため、地形の偏りに気を留めておく必要があります。これは、ペンタキューブの近親種である5Kにも共通する特徴です(一方4Tに対応するのは5X)。見た目から分かる通り、このポリキューブは幅が1×2の空間(かつ3Lの形状が確保できないもの)に弱く、中抜きで何とかしなければならない場面が多くなるのが実感できるでしょう。また、その他の性質として、全ての立体テトラキューブ(4Y, CS, CZ)は、同じものを2個使うことで必ず一辺2の立方体が出来ます。4YではFig. 1のようになります。
 このように見た目も特徴的で性質も簡素な美しさを持つ4Yですが、その運用方法について学んでいきましょう。

Fig. 1

刺し込みのあるA面は、周りの地形の高さを考えよ

 4Yの刺し込みは、当然のことながら2段目(高い面)の接する地形がどうなっているかを検討しておく必要があります。A面は、1マスの窪地に、脚を2本置けるスペースが必要なので、Fig. 2のような穴であればよいことになります。ただし、この図の場合は一度4Yを置くと2度目はありません(5コマ目のように高積みするか、6コマ目のように[(3,3,1)]を開けて2段目を消去に持っていく)。何度も言っていることですがブロックアウトはネクストの情報が無いため、出来るだけ広い受けを持つように最後まで考え抜かなければならないゲームです。
 4Yや5Kは、ブロックアウトにおいて忌避される市松模様の地形に強く、厳しい状況における整地能力は高いです。Fig. 3で市松模様上の地形に置いた場合を示しています。設置後の地形は高さがありますが平坦にしてくれます(5KをL/R面で使用した場合を除く)。それでも窪地を1つずつしか埋められない*2とや、段差が出来ることから、市松模様の地形を避けなければならない理由は明確になったかと思われます(そもそもこんなに器用には作れない、という言い方も出来ますが)。このような形が部分的に出来上がったときに補修することが出来れば最善手といえます。
 Fig. 4, Fig. 5で4Yが苦手にする地形を紹介します。まずは典型的な4Yの不安要素である「レーン地形」をFig. 4で紹介します。この地形は通常、5Xなどの受けがよいことを考えて積まれることが多い(横には長さ3の要素を含む、4L, 4T, 5L, 5T, 5Cなどが入りえます)のですが、中央に埋まっている箇所が1つも無く縦のレーンが走っているときは危険です。5Xや5Hが受かっても、この例では5F, 4Y, 5Kなどの地形が受けられないのです。ですから、これにたとえば[(2,1)]などを足して7マスのコの字型にしてあげられれば、かなり受けの広い良い形といえます。一方、このようなレーン地形を作って4Yに遭遇してしまったときには、Fig. 4の3コマ目のようにレーン部分を埋めてあげても良いのですが、4コマ目に図示しているように、青の1段目を捨て「すのこ」のようにして2段目以降を組み上げるという手段が無いわけではありません。いずれにしても紫勝負、より深いラウンドでは石橋を叩くほどの慎重を期して戦う必要があります。他にはよく末尾6のラウンドで発生しやすい4Yの入らないケースをFig. 5に掲載しています。この末尾6のラウンドにおいては、同じ高さの窪地が3Lの鉤型で残っているか、あるいは窪みの両側の地形がちょうど1段だけ違うという填まり形を確保しなければ隙間を生んでしまうため、特に後者の条件を2×5で維持するのはCS/CZでの待ちを否定することに等しく、意図的に歪んだ積みをすることになりますので、通常ならば鉤型を残して待つ形がオーソドックスといえます。

Fig. 2
Fig. 3
Fig. 4
Fig. 5

B面へのアクセスは最短2手最長4手、平置きの場合は事前の用意を

 4YはB面で3Lを底面にした3使いとなります(テトラキューブの立体は全て3使いが3L形です)。これらのキューブは、3Lをフラットで配置したときと地表レベルでの考えは同じですが、2段目のどこが盛り上がるかはちょっと頭の片隅に入れておきたいものです。4Yは必ず四隅に置いたときにコーナーの部分が高くなるため、四隅で使うほうが地形の管理としては覚えやすく、問題の発生しにくい地形が作れます。その例がFig. 6の3コマ目の図です。4コマ目の図は中央から攻めて言っている場合ですが、周囲の地形の残り方によって受け方がかなり変わってきます(5Xと5Yが刺し込みではなく平置きの待ちになる)。そのほか、5C待ちを作る5コマ目、5X待ちを端に作ってしまう6コマ目も奇手ではありますが間違いではないのです。最後に中央の地形を整えてフェイスを消すのが常道のブロックアウトとしては、できるだけ壁に面する「コーナーとエッジ」の部分を早めに埋めてあげる必要があるのですが、壁際をどのようにガイドするかという選択肢の広さはピットの広さに対して指数関数的に大きくなります(3×3ではかなり選択肢が限られ、4×5, 5×5, 7×3などは広すぎて逆に予測が立て辛い)。また、4Yの現れるところには必ずといっていいほどCSとCZというキラルの組がついて回ります。つまり、3Lの隙間が出来るときにはいつも、3パターン(場合によってはペンタキューブの5Qも含めて4パターン)を考えなければならない状況に立たされます。Fig. 7aでは全ての結果(2コマ目から2コマずつ、4Y→CS→CZの順)が異なります。この図ではたまたまCSが悪手であることが明確に分かります(中央にポッチが出来て高いのは致死率だけではなく移動の面からもよくありません)が、CZ, 4Yがまずい手である場合も穴の開き方によっては変わってくるのです(真ん中にポッチが出来るシチュエーションがどんな開き方か比較をしてみたのがFig. 7bになります。ポリキューブの順は同じ4Y→CS→CZです)。

Fig. 6
Fig. 7a
Fig. 7b

狭い場所でのプレースメントを考える

 全てのポリキューブに共通することですが、狭いフィールドにおいてどこが一番の安全圏なのかを検討することは、このゲームにおいて最重要な側面ですが、立体テトラキューブ3種についてはそれがますます重要といえます。何故なら、これらは出てくるポリキューブの種類が最も少ないボーナスステージでも登場する数少ないポリキューブだからです。
 幅2の地形について中心的に見ていきましょう。2マスとして使えない4Yは、「そういう地形を作らないようにする」という心がけを持ちましょう。2×2の4マスへの配置は、CSやCZとの組み合わせが嫌らしいように見えますが、中抜きが可能なのでそれほど恐れすぎることはありません。CSもCZも、上に乗せたところで穴を1段しか防ぎませんので、そこに新しく積み上げるようなことさえしなければ大丈夫です(Fig. 8で4Y→CS(4コマ目) or CZ(5コマ目)の組み合わせを示しています)。記憶力の問題にもなるので、この方法で作った蓋はすぐに消してしまいましょう。また、末尾6のラウンドでは、3マスよりも広い隙間への配置を行う場合があります。そのときは、CSやCZが受けられるだろうか?(2使いが出来るか、片方だけ出来ないだろうか、それとも高く乗せるしか出来ないのか)、5Qはどう回すか?、といったことが考えの最優先に上ります。Fig. 9では、CS/CZ/5Qの全てを受けられる基本的な例を載せています。最終的には「鉤型をキープする」原則を守って積んでいきましょう。
 どうしても隙間が出来てしまう場合も、後続に登場するのポリキューブの傾向を考える必要があります。たとえば、必ず隙間が出来てしまう例のFig. 10なら、どこに置くべきでしょうか? なるべく隙間は少ない方が良い、受け口が広いほうが良いという2つの側面を考えたときに、正解は1つではありません。ただし、復活の速さの最善手筋という点では、2コマ目の配置が良いと考えられます。待ちは4O形ですが、[(3,1)-(3-2)]が紫の層まで隙間が無いため、CS/CZの2使いで埋めねばならなくなったときも穴の埋め立てが無いため、妨げられる可能性が低いので、復活は楽になるだろうという認識です。3〜4コマ目のさし方も悪くありません。これは穴復活にCSとCZを1個ずつ待つ方法となり、立体テトラキューブで中抜きが出来る鉤型2個の待ちという点では意外にも好形です。
 逆に5コマ目のような形状は、1×3の待ちというのが少し良くありません。3マスが一直線だと必ず2個のポリキューブが埋め立てに必要で、その分穴の上に地形がかさむ確率が上がります。また、6コマ目のようなことをする人はあまりいないと思いますが、これは当然2Iでないと埋められない穴が出来てしまい悪手として数えるほうがいいでしょう。
 このように選択肢があるが、良くない地形を作ってしまうときには、確実にフェイスを取ることが出来るようにしていく必要があるため、たとえば4Yであれば3使いとなる面を今消したい目先のフェイスに揃えておき、その一方でノルマがまだ多いようであればより低い層の地形も埋め立てておく工夫を凝らしましょう。特に末尾6のラウンドは対策方法が決まり切っていると言えるので、ここで足を掬われないようにしましょう。
 ボーナスステージでは出現率が意外と高い4Yですが、3Lで表面を削ることが出来ます。次にCS/CZが来たときには、Fig. 8でも見たように、すぐさまBBで3L面を地表に向けて1フェイス取りましょう(実はBBだと4Y, 3Lも3L面が乗っかる形になります。この形状にはBBと決め打ちするのもいいかもしれません)。しかし、4Yを引いたのをすぐ判別できる自信があるならば、ぜひダブルを狙ってみましょう!

Fig. 8
Fig. 9
Fig. 10

回転バリエーションの少なさにより、覚えることは少ない

 4Yの回転は非常に簡潔です。回転軸は脚の伸びる元、分岐点となっている単位キューブに属しているので、そこを中心に回りますから、Cボタンによる回転の場合、やっていることは3Lと変わりません。ただし、3Lよりも脚が多い分、鉤型の回転に必要な空間の確保が必要になるのは、3Lと比べての大きな注意点です(Fig. 11のうち、11aはA面、11bはB面の場合ですが、違いは高さだけです)。3LのFig. 6やFig. 8では、回転入れするためのポリキューブを入れる場所が2マスでも済んだわけですが、4Yの回転入れには当然底面が3L相応の空間が必要があるので、そこが難しいというわけです。勿論、Cボタンが反時計回りであることにもほかのポリキューブ同様注意してください。  Cボタンの操作が重要になるシーンのもう1つに、A面で階段落としを実行する場合です。特に、4Y同士をくっつけて立方体を作る工程で、2回の階段落としを実施できますが、壁際だと回転を使うことになるというケースです。Fig. 12aの、右上に4Yが置いてある例を見ましょう。ちょっと怖い動作に見えるかもしれませんが、まずCCと回してレバーで右上に動かし、4Yの頂点同士を合わせます。そして着地を確認しながら1回ずつCを押します。すると、軸足がずれていって階段落としが2度成立しながら正しい位置に着地させられます。これは回転時の壁蹴りを利用した特殊なやり方ですので、片側に壁が無かったりする場合は、壁蹴り+レバー操作で階段落としをやることになりますし、Fig. 12bのような場合は回転ボタンを使っては良くありません(壁蹴りの場合は特例ですが、Cボタンを普通に押しても回転軸の位置が変わらないのです)。この場合はレバーだけで操作をするのが正しいので、使い分けてください。
 Bボタンでの回転は2通りで、A0→A1→B0→B3→A0とA2→B1→B2→A3→A2というパターンです。まず、階段落としが発生するパターンは、回転軸より下にある部分が軸と同じ高さまで動く場合のA1→B0とA2→B1の2通り(Fig. 13)です。これらの待ちは100点を余分に得らける一手です。逆に、回転軸より下にブロックが突き出るケースは、床蹴りのために回転不可能となる場合があります。それがB3→A0とB2→A3の2通りです。これらは回転軸の真下にブロックが来てしまうため、何かの地形に引っかかった状態で回転軸が浮いていないと回りません。尤も、そのような回転入れの需要は無く、はじめからA0もしくはA3の面を向けていればそんなことを考える必要はありませんし、階段落としの点数もそもそも入る余地がありませんから、気にしなくても良いでしょう。B2回転を経由しなければならない回転入れの場合があるかもしれませんが、Cボタンで解決できるようなケースがほとんどです。Bでしか解決できない例はFig. 14のみで、これはC回転であると反時計回りにより脚が奥のラインを経由して回転できなくなっているため、A3形態にしてからポリキューブ落下を行い、その後Bボタンで地中に脚を潜らせて回転入れを成立させます。
 Bボタンで解説すべき事項はこれで終了です。何故なら、ここで紙面を割いて紹介していないBの回転は、Cの1回転または3回転(逆回転1回に相当)とまったく同じ動きだからです。よって、いかに4Yが回転で悩むことの無いポリキューブであるかがお分かりになったと思います。

Fig. 11a
Fig. 11b
Fig. 12a
Fig. 12b
Fig. 13
Fig. 14

総括

 4Yはこのゲームで数少ないフラットでないポリキューブの1つであり、3種の立体テトラキューブには共通の性質を持つ中でも、ほかの2つと違ってより尖った特性を持っています。棘の多い形状は、がたがたに窪んだ市松模様に強い一方、1×2マスの単純な穴に引っかからないという小さくない弱点も持ちます。回転入れは特に変な覚えにくいパターンも少なく、階段落としの可能性も明確です(回転軸も分かりやすい位置にあります)。このポリキューブは狭い場所での置き方の方がずっと問題視されるキューブであり、2×5, 3×3あるいはボーナスステージにおいて、万一の場合に備えた積み方、あるいは妥協しての削り方で危機を乗り越えましょう。

[*1]海外版のAボタンがあれば、最初の回転でB3形態になる。
[*2]アーケード版では5Cだけがこの状況で唯一2個の隙間を埋められる。原作版を含む全てのペンタキューブまで拡張しても、他の該当例は5Aの僅か1個だけである(4Yと組み合わせることによって高さ3の3L形を作る)。


目次: 1I | 2I | 3I | 3L | 4I | 4L | 4T | 4O | 4S | 4Y | CS | CZ | 5I | 5J | 5Y | 5X | 5T | 5L | 5C | 5P | 5Q | 5K | 5H | 5F
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