BLOCKOUT: ポリキューブ概要: 5H


回転法則図

5Hの最短回転経路
A0 neutral
L0 B A1 C
B0 BB L1 BC U1 CB A2 CC
R0 BBB B1 BBC U2 BCB, CBC L2 BCC
B3 CBB R2 CCB A3 CCC
R1 BBBC U3 BBCB, BCBC, CBCC B2 BBCC, CCBB R3 BCBB, CBCB, CCBC
L3 BCCC D1 CBBB D3 CCCB
D0 BCBBB, CBCBB, CCBCB, CCCBC U0 BBBCB, BBCBC, BCBCC, CBCCC D2 BCCCB, CBBBC

上級者への道を歩むプレイヤーに最後に待ち受けては、初見殺しの恐怖を与えるが、意外なほど芸達者でもある

 5Hは、アーケード版ブロックアウトの全24種類のポリキューブの中でも、最後に登場するペンタキューブであり、その出現ラウンドは5Fが初登場する次のラウンドであるRound 28となります。Round 30を目前にして初登場となる5Hと5Fは、複雑度が高いが故にその操作難易度も非常に高いものとなっています。
 まず、その形状からしても、Round 20で初登場する5Kと同じく4Tを含んだ立体ペンタキューブであるため、ワイヤーフレームでしか描画されていない状態では、まず5Hを見た時にそれが5Hなのか5Kなのかという区別すら付かず、間違って配置して敗北するというケースが意外に多く聞かれます。例えば4Yのダブル待ちを埋めるためのブロックだと思っていざB回転したら異様な形状になり、そのまま穴の上で固まって致命傷になった……という負け方もRound 28以降では(20以降ノーコンティニューならゲーム開始から15分以上は経過していることもあり)冗談では済まされません。
 更に厄介なことに、5Hにはそれぞれの面での用法がどれも異なるため、高難易度域で初めて登場するだけでも覚えるのが難しいだけでなく、その用法も完全に理解していなくてはなりません(用法をTab. 1にまとめています)。5Hは2Iと3Iを互い違いに組み合わせた形のように解釈することができ、A/B面はそのような理解をした方が覚えやすいでしょう。一方でL/R面の性質からCS/CZの線対称の形同士を貼り合わせた形とも解釈でき、他方でU/D面の性質より1I+4Tの形としても考えることができるので、接地バリエーションが豊富であり、柔軟な幾何学的思考が必要であることはいうまでもないことでしょう。
 Round 30を超えられるようになってきますと、5Hを操作しなければならない回数はぐんと増えていきますが、もしこの5Hの全ての面の性質を知悉し、思うがままに操ることができれば、真のブロック・マスターの称号は半分手に届いていると言っても過言ではありません。

Tab. 1 5Hの各面の用法
形状 用法
A 2使いでその上に3Iが90度回転した状態で乗った形 2Iの目を埋めるために用いる。その上の段には、いわば両翼を載せるための隙間が必要であるため、地形を読み違えると1段のズレが発生して修復不可能な隙間となってしまうので、正しくあてがえる地形を頭に焼き付けておきたい。
B 3使いでその上に2Iが90度回転した状態で乗った形 3Iの目を埋めるために用いるが、ちょうどA面の2Iと3Iの関係を入れ替えたものである。3Iと2Iを貫く軸のうち、2I側は載せるためのマスが1マスでよい。適切な3I穴が空いていればA面よりは少しだけ使い易いと言えるが、これもA面同様しっかりと入れられる地形を覚える必要がある。
L
R
CSの1使い(穴が刺さるところの高さが2ではなく3となる)
CZの1使い(〃)
L/R面はキラルの立体テトラキューブの初期状態(A面)の1使いと同じ形である。5HはCS/CZのどちらの片面待ちにも対応できる形となる性質を覚えておくとかなり補修の幅が広がる。だが、どの形状が今の穴に当てはまるかの判断を間違えてはならない。
U 4T形の4使いで短辺の頂点の鉛直方向にキューブが生えた形 地形の一切ない空間に置いた時に隙間が出来ない形はこの形態である。U面のため、B1回でアクセス可能なのは極めて楽だが、4T待ちは狭いピットでは作りにくく、広いピットでも中央の座標が高くなる性質は5K同様。思わぬ場所に出っ張りができるため、その後の流れにも注意しなくてはならない。
D U面を裏返し、1使いかつ上の段に4Tが乗った形 最も使いにくい形状であり、回転手数も多く懸かるのが不幸中の幸いであろう。5KのB面と比べると深さが2以上ある4T穴に対する相性はこちらの方がよいが、使う機会があってもボタンを押す回数が4~5回必要なので、D面で伏せなければフェイスが取れないという形が見えても見送ったり妥協してU面を使うことも十分に考えられるため、使いどころはないと言わないまでも非常に難しい。

隙間のない置き方にとらわれずにA面とB面を5Hの基本手と考え、適合地形を丸暗記してしまおう

 5Hは、異なる高さに3Iと2Iの部分が直交している状態で出現し、初期状態のA面では2Iが下段に位置します。そして180度裏返したB面では逆に3Iが下段に位置することになります。そのため、よく使うことになるこの2つの面については、両面待ちと単騎待ちの形を覚えておくのが欠かせません。それがそれぞれFig. 1a, 1bとなり、それぞれの前半が両面待ち(180度水平回転させた形でも入るパターン)、後半が単騎待ちの例を示します(単騎待ちの緑の層になっている部分は地形高がどうなっていても5Hの待ちに影響がないことを示します)。
 5Qを除く立体ペンタキューブは、2×2×3という直方体に必ず収納できる形を持っています*1が、これは非常に大きな箱であり、回転や移動により振り回すのが非常に難しくなります。そのため、不用意にBボタンで回転して高くなった状態で置き方を悩んだり、その形態を経由してなんとか理想型に戻そうとして却って傷口を広げてしまう……そんなことにならないように、A面やB面が入らないということが分かりさえすれば、何とかして他の形に逃がす、ということが出来るようになるので、学習が大事になるのです。
 3×3において、Fig. 2のような地形を想像してみましょう。序盤に4T, 5L, 3Lといったツモを受けて、5Xを警戒しながら中央を空けて置いたていら5Hを引いてしまい、A面(3コマ目)でもB面(4コマ目)でも待ちが高くなりすぎて妥協置きをしたくない、というケースになってしまった、という場合に、妥協置きが危険そうだと気付いて初めて、それ以外の形態を使うことを考慮できるようになれば素晴らしいと言えます。実際にこのパターンに遭遇した場合は、5コマ目から開始してBC下Aとして、2I形聴牌の紫勝負に受ける、といったような手を選ぶことが出来るようになります。もし5Hの回転に習熟しておらず、咄嗟に思い付くのがA面・B面の妥協置きだった場合、紫勝負の穴が2つに分断されてしまうため、Round 30以降の3×3では死の宣告が早くもカウントダウン、という様相になってしまいかねません。(また、Fig. 2の図は丁度B回転した時のL面が妥協で差し込みやすいと気付くかもしれませんが、もし盤面が90度回転していたら、正解までの手数が余計に懸かることで気付かないプレイヤーも出てくるかもしれません)
 5HのA面を覚えておくことは、類似形の5Kと間違えないようにすることも兼ねています。5Hは初期状態が2使いなのに対して5Kは4使い(4T形)です。しかし、ワイヤーフレームでの描画は地面に付けた時の底面が見分けにくく、特にRound 28は描画ワイヤーフレームが広いピットの影響で小さくなるため、より視認性が落ち、更に落下速度もレベルによって大幅に上がってしまいます(Fig. 3を参照)。そのため5Kと5Hは描画を覚えるのが大前提ですが、それがおぼつかない場合はまずBで回転を行うことで、5Kならば回転軸の部分が盛り上がって見える(Fig. 3の2コマ目)のに対して、5Hは回転軸の右隣が高く盛り上がります(同、7コマ目)。これにより、ブランチ形の5Kとそうではない5Hが区別可能なので、どちらにも受けられる4Tの平置き待ちがない場合でも、正解をたどれる場合があります。とはいえ、初見で操作したことのないポリキューブを見分けるというのはこれから中級以上のプレイヤーを目指す方にとっては余りにも難易度が高いため、いろいろな類型を体で覚えて体系化して学んでいくことで、見間違いによるミスを減らしていくのが王道です。こうした失敗もまた上達のプロセスのうちです。

Fig. 1a
Fig. 1b
Fig. 2
Fig. 3

L面とR面はCS/CZの1使いであることに気付けば、使えるパターンが劇的に増えるが、高さには要警戒

 高さが3を持つL/R面についてです。5Kのように軸のあるところが高さ3になっている訳ではなく、その差し込み口となっているところの真ん中、2段目に2Iがくっついている形状は不慣れな印象を与えるため、この形態を使いにくいと思っているプレイヤーも多いのではないでしょうか。しかし実はこの形状がキラルのテトラキューブであるCS/CZの1使いの両方のパターンに対応可能である(そして、1使いで突き刺す部分の高さが3になっている)ということに気付くと、実は驚くほどに使い勝手がよく、埋められる可能性のある場所が多いということが分かるでしょう。
 CSと同じ待ちを持つL面の場合をFig. 4で見てみます(4aはCS、4bは5Hの場合)。5HをBで回転する(Fig. 4bの2コマ目)と、待ちはCSのA1状態と同じになります。あとはCSのA面と同様に使えるというのは、他のC回転を行った形態と見比べれば分かります。
 また、CZも同様にFig. 5で示しています(5aはCZ、5bは5Hの場合)。5HをBBBで回転する(Fig. 5bの2コマ目)と、待ちはCZのA1状態と同じになります。

Fig. 4a
Fig. 4b
Fig. 5a
Fig. 5b

 以上をまとめると、CS/CZの片方では水平回転形を含めて4通りしか待てない状況でも、5Hなら一つで8通り全て待つことが出来るため、正しく使いこなせれば視野が広がることで慌てにくくなり、優位に立てるという訳です。しかしそれを以てこの形態の待ちに断定してもCSやCZの上位互換的存在とは言えないのが5Hが難しいポリキューブと言われる所以です。大きな理由は2つあり、まず5Hを引いてL/R面を使うことになった場合、「どちらの待ちが正しいかを瞬時に判断する」という反射神経の勝負となることは避けられず、また間違った方を選んでしまった場合のダメージが計り知れないものとなります。
 L/R面の判断ミスが致命傷に繋がりうる可能性のあるパターンとして、少し地形の高い3×3で5HをR2形態にしてダブルを取らなくてはならない場合をFig. 6として想定します。L面とR面の使いやすさの違いは、回転方向が2通りしかないアーケードの日本語版ブロックアウトにおいては避けては通れない話題であり、L面がBを押してから入れたい場所に合わせてCの回数を調整するのがどの形態においても最短手順となりますが、R0/R1は直感的なBB/BBCが最短手順であるのに対してR2/R3はCCB/CCBBが最短である(BBスタートだとCCBをBBCCと入力することになり1手損)ことを知らないと最後の操作で差が出ることになります。Fig 6b.の場合は最後のC回転入れが壁蹴りを誘発して上手く穴の真上に回転してくれるので1手損でも気付けば挽回のチャンスは十分にあるのですが、もし途中で操作中の5Hが固定されてしまった場合はどうなるか、それは想像に難くはないでしょう。
 そしてもう1つはもちろんのこと、5H自体の高さが3になるという点です。Round 24以降では、1~3面台の周回序盤のラウンドが9であるのを除き、天井高が7~8のピットでこれらのポリキューブを操作しなければならないことになります。そのような状況においては、例えば4LのD面を出してトリプルを狙うという稼ぎも自殺行為と紙一重となるため、深さ2の穴を作ることが危険であることを体で学ぶことになりますが、ポリキューブの中には高さが出る形がL面やU面など、必要ボタン数の少ない形態に割り当てられているものがそれなりにあります。5K, 5H, 5Fは最短で2手以内に高さ3の形態を経由することになるため、立体であるが故の移動の制約をもろに受けてしまいます。より極端な例を挙げると、Fig. 7のようなパターンで、すでにピットの半分近くに地形が達していると、差し込みたい先によっては操作が間に合わない場合があります。左下を埋める場合(Fig. 7a)にはBCCC、右下を埋める場合(Fig. 7b)はBBBCといずれも4手を要するので、自由落下1回以内にこれらの回転ボタンとレバー操作を完了できなければならないことになります。
 Fig. 6-7のような図は本来作らないことが一番よいのですが、そうも言ってはいられないのがブロックアウトです。ある程度の高さまで追い詰められた時には意を決して手数のかかる操作をする、という最後の賭けに出なければならない場面が出てきます。そこで助かるか助からないかを分かつのもやはり場数を踏むことによるパターン認識であり、その賭けに勝つための一手を引き出すためにこそ知識が必要になるのです。

Fig. 6a
Fig. 6b
Fig. 7a
Fig. 7b

U面は4T平置き、一度この形を使うと決めたらC回転のみで狙いを定めよう

 5Hは、他の立体ペンタキューブと異なり、そのまま落下させた時に隙間ができない形態がU面に配置されているのに気を付ける必要があります。一方でこのゲームに登場する立体テトラキューブ3種類は全て、そのまま落下させると隙間ができる形となるため、性質としてはそれらに似ているという部分もあります。
 U面の最速はCBで出せるU1形態(高さ2の頂点が左を向いている形)であり、それ以外の形態には複数の最速手順がありますが、高さが3以上になるL/R面を経由しない方が高さのある時に干渉が少ないため、基本的にはCBスタートでC回転を使って埋めたい穴に対して調節を行う、というのが明快でしょう。適切な形状にするためのCボタンの回数は押しすぎに注意しましょう。
 平置き4Tとしての使用方法は4Tの項を見て貰うことにして、問題は5K同様に、狭い場所――特に3×3での配置についてです(Fig. 8)。5KのA面と同じ条件になりますが、長辺の部分をエッジに配置しない場合は穴が3箇所となってしまうので、Y=1の部分を長辺にする配置を例に取ります。5Kとは異なり、5FはT字の短辺の頂点に出っ張りがあるため、同じ置き方をしても受けが若干異なるものがあります。5Xは紫勝負の対象マスがコの字型となり、5Kよりは多少マシな受けになっています。しかし5T, 5Lとの相性の悪さは変わりません。また、5Hの4使いは5K(Fig. 8、14~15コマ目)との相性が非常に悪いことも注目に値するでしょう。5K+5Kであれば連結しやすい形になるのですが、[(2,2,2)]のマスが埋まっていることによってここを占める置き方が断たれているのです。更には図では言及していませんが、5Hの後に5Cを引いて1フェイスを取った場合、残るのが[(2,2,1)]という中央のマスであり、中央だけが盛り上がる形はやりづらく感じられます。そのほか、立体テトラキューブの受けとしては5Kの4使いが4Yのみ引っかけに適合し(Fig. 9a)、CS/CZは引っかけず逃がすことになる一方、5Hの4使いは4Yを逃がしで使わされる一方、CS/CZは1使いでY座標1の地形を均すように立てかけられる(Fig. 9b)など、他のキューブの受けも異なってきます。このように、5Kと5Fの4使いは突起の箇所が1マス違うというただそれだけではありますが、受けの評価が激変するポリキューブも存在するため、使い方には気を払う必要があります。
 4Tの短辺に突起が生えているという性質により、平置きを行うとコーナーから離れたところに高さが出るという問題も出てきます。5Hは4周目においてはRound 35, 38, 40にしか出現しない([src:SAL B7])ため、底面積が極端に広いか狭いピットにしか登場しません。Round 33, 35, 37, 39, 40で登場する5Kとは分布が大きく異なるのも興味深いです。Fig. 10はオープニングに5Hを引いた時の置き場の可能性を考えるための図ですが、エッジに長辺を押しつける形だと、(x=2~6, y=2)の座標に紫の部分が出ることが分かります。ブロックアウトは角や周囲の壁の地点を高くして中央を低く構えるすり鉢型の地形が望ましいことは他の項でも紹介してきたので、5Hの4T型平置きはその理論からは外れてしまいます。出っ張りを壁に押しつけるパターン(Fig. 10の3コマ目)も考えられますが、周辺を処理できるブロックが少し限られてきてしまうのと、横幅が狭い時に角に置かざるを得なくなった時(同、4コマ目)に、5HかCS/CZの単騎待ちの狭い形になることには注意が必要です。
 5Kの項のFig. 6として示した図をFig. 11として掲載し、5Hの場合は突起の位置がどう影響するかを見てみます。3Iの部分には突起がないことにより、そこで3マスを補修することが可能になります。2Iの部分にはSK, SH共に突起が存在するためそこが走る部分は段差ができてしまうのは同じです。この場合も注意すべきは、5Hの方が5Kよりも突起をより盤面の中央に置かれやすくしてしまう点です。ところが置き場所が増えるため他のブロックを使って均しやすいという利点があったり、そもそも5Iを平置きできる場所の確保(但し縦横の中央の座標は除く)が優先であるという鉄則があったりという理由から、5×5のピットでは警戒度はより低く総じて5Kの平置きよりはよいと考える向きがあります。なお、Round 35は5Kも5Hも4~5%程度の確率で出現すると考えられるので、これらが来ても不意を取られないようにしましょう。
 最後に、5Kの項のFig. 7として示した図をFig. 12として掲載し、周囲の窪地の高さによってどのような地形ができるかを見ていきます。2段の壁に面した場合はやはりCS/CZの1使いの単騎待ちの形ができてしまいます(Fig. 12、3~4コマ目)。同じような例をこのページで幾つも見てきましたが、5Kは組み合わせて置く形が4Yや5Kであればよいが5Hの場合は据わりが悪く、5Hは逆にCS/CZ/5H同士での相性がよく、5Kとは上手く組み合わせられない、という、4YとCS/CZが持つ特徴と似たような性質になっていると言えます。5Hは言うなればCS/CZの両方を重ね合わせた性質を持つ分体積が大きくなっていると言うことができますし、5Fも4Yを2個重ね合わせた形と見做すことができます。そして、4T形の窪地が2段になった時の場合(同、5~6コマ目)は、5Kで生じた市松模様ではなく、3Iのレーン地形が形成されます。パリティが4:1である5Kの場合は表面の地形が崩れやすい一方、そうではない5Hでは整った地形になります。

Fig. 8
Fig. 9a
Fig. 9b
Fig. 10
Fig. 11
Fig. 12

D面はダブルを狙いにくいだけでなくボタン入力も多いため、1段上の4T削りとして使うにはかなりの習熟が必要

 5HではU面を裏返すと、着地が1使い、その上に4Tが乗る形となるD面が出ます。24通りの形態を持つポリキューブにおいて、D面は平均手数が4.5手かかる非常に重い手であることはこれまでも説明した通りですが、この形態は使う場面が限られるため、他の形態よりもボタン数を要するのは不幸中の幸いです。
 Fig. 13で、広い盤面に穴が1つだけの場合のD面でフェイス消去後の残り方を見てみます(~5コマ目)。短辺の頂点が差し込み口のため、4Tの残り方は穴の周囲でC回転した形を残すことになりますが、なるべくならば壁の近くを高める置き方がよいでしょう。そして、ダブル消去を意図的に作ったパターンが6~14コマ目となりますが、最後のD面を向ける際に、高い山が周囲にあると引っかかりそうな状況を危惧しながら操作することになります。図ではD0形態での差し込みとなっていますので、この場合は最短が5手かかります(横を向いているD1/D3形態の場合でも4手必要)。やはりこの場合も5Hダブルの聴牌にするよりはCSでフェイスを取る方が(5面台が天井高7であることを踏まえても)安全でしょう。2フェイス消せばクリアという状況であったとしても、Level 4や5になっている時には狙うのを避けた方が無難でしょう。なお、5Hのダブル聴牌はCS/CZのどちらを引いても1使いでフェイスを取ることが出来る両面待ちとなるため、それらを引いたらフェイスを取る、という考えは有効です。
 着地する1Iの部分ではなく、4Tの部分でフェイスを消す中抜きについては、5Kの項でも触れていますがおさらいをしましょう。4T型の段差2の穴が存在すればいつでも可能になるため、その例を見ます。さて、同じ芸当が可能な5Hも比較のために見ていきましょう。5KがFig. 14a、5Hの方が14bとなります。5Kは市松模様が残ってしまうという大問題が発生するこの手ですが、5Hの場合も4~5手ボタン操作がかかり、最大で4手を要する5Kと比べるとマシではありますが50点を惜しむよりも直前で階段落としをして100点を伸ばした方がいいため、U面を使った方が安全と言えます。
 Fig. 15の[(2,2,1)]が埋まっているパターンAと[(1,1,1)]が埋まっているパターンBを連続で紹介しています。5K(15a)が依然として1マス埋まった状態でも穴が分断されるというのに対して、5H(15b)は[(2,2,1)]が埋まっている場合D面を使ってはいけない(4使いのU面を使う)ということに気がつかないととんでもないミス置きになってしまいますので、頭の中で設置後の地形を考慮できるようにしなければなりません。
 Fig. 16のように([2,1,1])が埋まっているパターンは、5Kの場合(16a)、A面を使って4使いの削りで悪形となり、そもそも5Kを入れないという選択でした。一方の5Hの場合(16b)は、5C聴牌となる穴2つの待ちになるので、地形やレベルに余裕があるならば狙ってもよいですが、そこはL/R面で差し込んで、穴の周囲が広く狙いやすい紫勝負をするという手(Fig. 16の6コマ目)が速く作れるというのを忘れないようにしましょう。

Fig. 13
Fig. 14a
Fig. 14b
Fig. 15a
Fig. 15b
Fig. 16a
Fig. 16b

回転入れや階段落としなどのテクニックは試みない方が無難だが、是非覚えたい技もある

 最後に、有用ではないかと考えられる、回転を伴ったテクニックについて紹介していきましょう。
 5Hは4T+1マスという形状から、C回転で有用な回転入れはU面で、4Tでも使用できるパターンがあります(Fig. 17)。この場合は、C回転が天井から見て反時計回りにしか回らないため、CSの場合にしか成立せず、CZの場合は回転入れ不能です。また、4T形でもT字の中心に突起のある4Yでは([2,1,2])が接触して回転できません。
 また、B回転で非常に有効な手としてこれだけ覚えて貰いたいものがあり、実は5Xの項でも紹介したことがある回転入れです。B回転により5Xの足の下に5Hの3I部分を潜らせることができるというもので、下側はL0→B0、上側はR0→B2という回転をしますが、これらは左の壁に5Xを寄せた時にどちらかの穴を埋めることができる手です(ただし、回転入れと壁蹴りの組み合わせのため、横幅が4以上のピットでは有効ではない技で、殆どが3×3にて使用されます)。L0はA0からB1回で回せるためセッティングが楽なために下の差し込みが殆どの利用例となりますが、上の場合もCCBでR2形態に移行すればよいです。
 5Hは大型のポリキューブであり、レバー移動はともかく回転を伴った階段落としを実行するのは非常に困難を極めます。回転軸は2I側に位置しているため、B回転による階段落としの発生するパターンは、R0→A0、D1→A1、L2→A2、R1→U0、L1→U2、B1→U3の6通りになります。4使いのU面になるパターンのうち、A1→U1のみが地面を転がるような形で軸の位置が変わらないために90度右に転がるだけですが、その前のB回転が浮いて100点を取ることが出来る形となります。
 まずはA面に着地するパターンのうち、R0→A0、L2→A2のパターンををFig. 19で見てみましょう。2~10コマ目がR0→A0、11~19コマ目がL2→A2のパターンとなります。いずれにおいても注意すべきは回転軸が2Iの所に存在するため、X座標を間違えないことです。2I部分が飛び石の地形の間に挟まった位置にあるのがポイントで、更にそれぞれのパターンで1段の段差を落として1回余分に稼ぐことができます。そして、残るD1→A1のパターンですがFig. 20ですが、D面からB回転で浮き上がって自由落下が発生する(Fig. 20、3~5コマ目)のはこの時しかありません。また、A1形態から更に回転をしてU1形態にした場合(同、6~7コマ目)は、恰も操作中の5Hが右に1マス移動するような動きをします。U面に変化する時に1マスの浮き上がりが発生しないのはこのパターンのみです。
 最後に、U面に着地して100点が貰えるパターンをFig. 21で見ていきましょう。R1→U0が21a、L1→U2が21b、B1→U3が21cとなります。それぞれ階段落とし前のボタンの手順としては、R1がBBBC、L1がBC、B1がBBCということで、Bを1~3回押してからCを押し、目的の位置でABの順に押すという動きになります。どのパターンについても落下前の3コマ目の形態図から階段落としを想像するのが難しいため、落下させる位置を間違えてしまうと変なところで固定されてしまうので、特に低いレベルの時には慎重且つ確実に操作して下さい。(これらのテクニックはそもそも5Hの操作にかなり慣れている超上級者向けなので、無理をしないようにしましょう)

Fig. 17
Fig. 18
Fig. 19
Fig. 20
Fig. 21a
Fig. 21b
Fig. 21c

総括

 5Hは5Kと似たようで異なる、4Tを含んだ形の立体ペンタキューブであり、初めて遭遇した時には一体どんな形をしているのかすら想像が難しく5Kと混同する危険性もあります。棘の付いている位置が5Kとは1マス異なるだけですが、4Yを2つ貼り合わせたような5Kは形態のバリエーションが乏しいのに対し、5Hの取りうる形は多彩であり、ある時には3Iと2Iを互い違いに組んだ形に見えることもあれば、CS/CZというキラルの立体テトラキューブ対を貼り合わせた形にも見え、ほかには4Tの上にキューブが1個乗った形としても解釈できるため、いろいろな補修テクニックがあります。
 しかし、これらの形はワイヤーフレームで一見するだけでは分かりにくいというだけでなく、高次周に突入しない限り操作に慣れることすらおぼつかない(出てくるラウンドが遅い上に落下速度が元から速いラウンドで捌かせられるため)のがまさに上級者への道に厳然と立ちはだかる壁となっています。それぞれの用法を学習し、操作して大型の操作感に慣れ、特にRound 28, 30, 35, 40...などで5Kと一緒に出現する可能性のあるラウンドでは両者の形を判別できるようにすることから初めていきましょう。このポリキューブを以て、アーケード版ブロックアウトに登場する全てのポリキューブが全て出揃うことになりますので、上級者への道が開ける天啓となるでしょう。

[*1]ペンタキューブを収納できる直方体を考えた時、最大の体積を持つものは立体ペンタキューブの場合であり、その場合は長さ4を含むことができない(5J, 5Y, 5Nなど、長さ4を持つペンタキューブは必ずフラットになってしまうため)ので、2×2×3=12が最大の体積となる。なお、5Qと5Aのみ、体積が2×2×3=8の立方体内に収めることが可能。


目次: 1I | 2I | 3I | 3L | 4I | 4L | 4T | 4O | 4S | 4Y | CS | CZ | 5I | 5J | 5Y | 5X | 5T | 5L | 5C | 5P | 5Q | 5K | 5H | 5F
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